内容説明
『蘭学事始』は杉田玄白が『解体新書』の原書の入手から翻訳・刊行にいたるまでの苦心談や「蘭学」の創始、前野良沢ら同志と取り組んだ挑戦の実況、蘭学界の動向・推移などを書きつづった回顧録である。玄白はなぜ「蘭学」という新しい学問を創始したか。いかにして近代西洋医学の道を切り拓いたか。その成果は後世にどのような影響を与えたか。また、『蘭学事始』執筆の動機とは何か。蘭学発達の道筋、玄白らの知恵と工夫と努力の過程を、玄白自身の言葉を手がかりに、時代状況や蘭学史研究の最新の成果、新たに判明した玄白の記憶の間違い、解明に到った新事実を盛り込んで紹介する。
目次
勇気と知恵の書『蘭学事始』と杉田玄白
『蘭学事始』執筆の目的
『蘭学事始』『蘭東事始』『和蘭事始』
鎖国と南蛮流外科・和蘭流外科
阿蘭陀通詞とオランダ語学習
徳川吉宗と野呂元丈・青木昆陽
前野良沢と一節截とオランダ語
オランダ文字と後藤梨春・安富寄碩
長崎屋訪問と良沢・玄白の目的
田沼時代とオランダものの流行〔ほか〕
著者等紹介
片桐一男[カタギリカズオ]
1934年(昭和9年)、新潟県に生まれる。1967年、法政大学大学院人文科学研究科日本史学専攻博士課程単位取得。現在、青山学院大学文学部名誉教授。文学博士。洋学史研究会会長。公益財団法人東洋文庫研究員。専攻、蘭学史・洋学史・日蘭文化交渉史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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