内容説明
モンゴル人は十九世紀末から、中国からの独立を至上命題として掲げてきた。そのためには日本の力もロシアの威光も借りた。アジア諸国が西欧列強からの自立を目指していたのと対照的に、モンゴル人は中国からの独立を獲得しようとして、西欧列強や日本を味方と位置づけていた。本書は日本近現代史の延長でもある。日本統治下の満洲国とモンゴル聯盟自治政府のモンゴル人たちが、「日本に協力した罪」でジェノサイドの犠牲となったからである。中国によるモンゴル人大量虐殺は、間接的な対日歴史清算運動であった。
目次
序章 隠されたジェノサイド
第1章 ジェノサイドを煽動する共産党のヘイト・スピーチ
第2章 受難するモンゴル人の指導者ウラーンフー
第3章 粛清される民族自決の内モンゴル人民革命党員たち
第4章 倒されていくエリートたち
第5章 ジェノサイドのコミューン
終章 モンゴル人学生運動と「地方民族主義者」が語る中国文化大革命
著者等紹介
楊海英[ヤンハイイン]
静岡大学人文学部教授。内モンゴル出身。日本名大野旭(おおの・あきら)。国立総合研究大学院大学博士課程修了。歴史人類学専攻。著書に『墓標なき草原―内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(岩波書店、第十四回司馬遼太郎賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
12
体調が優れない時や精神的に不安定な時には本書に手を出さない方が無難。吐き気をもよおす場面多々あり。先日テレビの討論番組で、著者が多くの日本人は漢民族の本当の恐ろしさを理解していないという主旨の話をしていたが、戦後の日本の知識人や研究者の中国共産党に対する姿勢にも問題があったのだろう。本書は中国政府の公文書と被害者報告書を用いて客観的に内モンゴルでのジェノサイドの実態を描いている。漢民族の暴力的残虐さ、サディスティックさ、狡猾さが目に余る。人間はどこまで残酷になれるのか? 暗澹たる気分。 2016/08/18
takao
1
ふむ2024/10/27