内容説明
江戸と中国、朝鮮と琉球をつなぐ同心円の中心に位置し、東シナ海における当時の国際交流の中心地であった長崎という「場」に着目、人・モノ・文化の結節点において紡がれた歴史・文化の諸相を描き出す。本冊では、ポルトガル・オランダとの交流にスポットを当て、長崎、そして日本の文化に大きな影響を与えたキリスト教や科学・医学など西欧の技術や思想の浸透・影響度を多角的に論じる。
目次
第1部 ポルトガル時代(教会のある町長崎;日本のセミナリヨ・コレジヨにおける国際人教育;南蛮系宇宙論の成立と展開;天正遣欧使節と千々石ミゲル―何故にミゲルは棄教したのか?;カクレキリシタンにおけるオラショの変容とその意義について;ヨーロッパの図書館・文書館の長崎関係キリシタン資料;日本におけるキリシタン墓碑の様相)
第2部 オランダ時代(平戸オランダ商館の設置前後;儒医向井元升と西洋医学・薬学の受容について;出島商館長クライヤーによる日本植物研究;オランダ通詞富永仁兵衛とVOCの情報収集;長崎遊学者のその後―梅園・玄沢・江漢を中心に;志筑忠雄訳「鎖国論」の流布と影響;長崎から発信された翻訳世界と近代への志向―アヘン戦争と清屈服後の十九世紀国際環境の中で;シーボルトの日本研究とその支援者としての美馬順三ならびに吉雄権之助;『慶賀魚図』とシーボルト・ビュルガーの日本魚類研究;近代的な科学技術と医学の組織的導入―海軍伝習;シーボルト事件と幕末の国学)
著者等紹介
若木太一[ワカキタイイチ]
1942年生まれ。長崎大学名誉教授。専門は近世文学・長崎学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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