内容説明
科挙のような儒教的制度を有さない他方、仏教によって葬儀や祭祀が主導されていた近世日本社会。そうした社会を生きる儒者達は、儒教儀礼、殊に東アジアで絶大な影響力を誇った『家礼』記載の喪祭礼を、どのように捉え、そしていかにして実践しようと試みていたのか。長期間にわたってこの問題と真摯に向き合い続けた、山崎闇斎を学祖とする闇斎学派に着目、思想と社会とが様々に交錯する現場に立ち入ることで、これまで見落とされてきた近世日本儒教の新しい一面を照らし出す。
目次
第1部 浅見絅斎とその周辺(「此方ナリ」の『家礼』実践―基軸としての「本」と「文」;「物ナリ」の思考―「格物」と喪礼実践;「心ノ理ナリ」による来格―鬼神論と祭礼実践)
第2部 闇斎学派の地域展開と『家礼』実践―尾張と上総を中心に(尾張藩の学問所と『家礼』―蟹養斎による喪祭礼実践の教導;寺請・寺檀体制下の『家礼』実践―中村習斎と尾張崎門派;「反徂徠」と『家礼』実践―稲葉黙斎と上総道学)
著者等紹介
松川雅信[マツカワマサノブ]
1989年、大阪府大阪狭山市生まれ。立命館大学文学部卒業。立命館大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。タイ・チェンマイ大学人文学部常任講師、立命館大学授業担当講師、大阪国際大学非常勤講師等を経て、現在、日本学術振興会特別研究員(PD)。専門は、日本思想史、日本近世史。主要論文「稲葉黙斎の喪礼実践論―徂徠学批判・仏教認識に注目して」(第1回日本経済思想史学会賞受賞)(『日本思想史学』50号、2018年)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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