内容説明
魏晋南北朝期から隋唐期にかけて、仏教は社会の隅々まで浸透し、「仏教社会」と規定できる時代が到来した。六世紀半ば以降の「末法到来」を起点とする時代に、仏教は中国においてどのように変容し、社会・文化に影響を与えていったのか。風雪に耐え、破壊を免れ、後の時代へと信仰のあり様を伝え続けてきた諸種の仏教石刻に着目することにより、当時の仏教信仰の社会的・歴史的展開を照らし出す。
目次
第1部 山東仏教石経の歴史的背景(山東泰〓(えき)山区における刻経の新資料と北朝隋唐期の仏教
空王・空王仏・大空王仏―北朝末期仏教石刻に見る仏教の中国的変容
山東の摩崖刻経―諸訳・諸版本との比較結果、及び英訳の方針について)
第2部 山東仏教石刻の美術史的考察(隋時代の山東仏教造像について;隋仁寿舎利塔と青州勝福寺址;泉屋博古館所蔵「乾元孝義皇帝八国王等」銘舎利容器の空間構成)
第3部 中国中世仏教石刻の多様性と広がり(石碑の意匠「穿」について;四川仏教石刻の性格;房山雲居寺石経事業と唐後半期の社会)
著者等紹介
氣賀澤保規[ケガサワヤスノリ]
1943年生まれ。明治大学文学部教授・同東アジア石刻文物研究所所長。専門は隋唐政治社会史、東アジア交流史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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