内容説明
デジタル技術により開かれつつある世界、その実現への道のりと運営の課題、技術革新の背後にある陥穽、そして、これからの可能性。国文学・歴史学におけるデジタルアーカイブや、妖怪データベース、電子図書館やe国宝など、めまぐるしく変化する「デジタル人文学」の環境を、実際の現場から捉え直し、人文学の未来を考える立ち位置と思考の拠り所を提供する。
目次
総論(デジタル人文学の現在―本書の解題をかねて)
第1部 デジタル環境の出現と普及(図書館が資料をデジタル化するということ―国立国会図書館のデジタルアーカイブ;だれでも楽しめるデジタルアーカイブを目指して―国立文化財機構「e国宝」;電子資料館事業の現在と未来―国文学研究資料館のデジタルデータベース構築;小規模大学での地域に密着した画像公開の取り組み―奈良女子大学「奈良地域資料画像データベース」の場合;魅力的なデータベースとは何か―日文研の怪異・妖怪関係データベースをめぐって;研究ノート 日本古典画像資料を含む主なデジタルリソース)
第2部 人文学諸分野との融合(“国文学”のミレニアム―レトロ‐プロスペクティブなデジタル元年;史料校訂に関わるデジタル環境;デジタル時代における博物館コレクションの表現―歴史的な視角から;傑作はどこへ消えた?―デジタル複製による文化財の置換問題を考える;デジタル画像における史料改竄の問題―被差別地域の地名表記の問題をめぐって;研究ノート 「ウィキ絵巻」開発記)
第3部 明日のデジタル人文学へ(デジタル・ヒューマニティーズと教育―人材育成の必要性とデジタルアーカイブのサスティナビリティー;Linked Open Dataと学術・文化情報の流通;持続可能なデジタル・アーカイブの可能性;『日本常民生活絵引』の再生―“絵画物語論”のために;デジタル社会における奈良絵本・絵巻研究;「頼政」面を溯る―能・狂言面データベースの可能性)
著者等紹介
楊暁捷[ヤンショオジェ]
1959年生。カナダ・カルガリー大学教授。専門は日本中世文学(絵巻)。デジタル技術の利用や小規模リソースの開発など、複数の実験的なプロジェクトを担当した
小松和彦[コマツカズヒコ]
1947年生。国際日本文化研究センター所長。専門は民俗学、妖怪論、シャーマニズム、民俗宗教などを研究
荒木浩[アラキヒロシ]
1959年生。国際日本文化研究センター教授・総合研究大学院大学教授。専門は日本文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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