内容説明
読むこと=考えること=書くこと。現代文学の最前線にいる作家をはじめて本格的に論じ、読む楽しみを再発見する。次世代の作家論に先鞭をつける“はじめての評論”。
目次
序章 ポストモダンの入口で
第1部 ポストモダンと高度消費社会(左翼から“サヨク”へ―『優しいサヨクのための嬉遊曲』;非国民から“ヒコクミン”へ―『亡命旅行者は叫び呟く』;世界が滅びる日―『夢遊王国のための音楽』 ほか)
第2部 「失われた十年」と「暗い森」のなかで(ポストモダンから「暗い森」へ;超架空都市と可能世界―『ロココ町』;パロディと倫理性―『彼岸先生』 ほか)
第3部 「新しい世紀」と“恋物語”の誕生(「9・11」と不可能性の時代;“恋物語”の誕生―『彗星の住人』(「無限カノン」第一部)
“血の泉”と“美しい魂”―『美しい魂』(「無限カノン」第二部) ほか)
著者等紹介
小林孝吉[コバヤシタカヨシ]
1953年、長野県生まれ。明治学院大学文学部卒業。文芸評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
59
島田雅彦がコンセプチュアルな小説家であることはわかった。特に初期作品のわかりにくさはそこに端を発している。問題はコンセプトをどう肉付けしていくかという文章的なモチーフの問題。ここで好き嫌いが分かれるけれど、それも作家の個性の見せどころなのだと思う。何を書くか、どう書くか。2018/08/21
giant_nobita
1
島田雅彦の小説を「時代表象の文学」とするのは矮小化が過ぎるし、紙幅の大半があらすじに費やされていて物足りない。ボードリヤールの引用が島田の小説に当てはまっていると無邪気に喜ぶだけでは到底文芸批評とは呼べないのではないか。2013/12/10