内容説明
若く美しい乳癌患者の歌集『乳房喪失』命の絶唱!それは「むしろスキャンダルだったとさえ言いたい」ほど歌壇を騒がせ、戦後の短歌革新の布石ともなった「事件」であった。その最期の日々を看病した記者の手記『乳房よ永遠なれ』は、ベストセラーになり映画化されて大ヒットとなった。だが、そこに描かれたものは男性によって作られた歌人の虚像にすぎなかった。いま、同性の目で歌人の人生と作品を再評価した会心の評伝傑作。全歌人・全女性の必読書。
目次
第1章 おいたち―ロマンチストになり果てゝ居り
第2章 結婚―妻の淋しさ何にあるらむ
第3章 不幸を大切に―背かれてなほ夜はさびし
第4章 発病―春のめだか雛の足あと山椒の実
第5章 歌の秘密―灼きつくす口づけさへも目をあけて
第6章 乳房喪失―唇を捺されて乳房熱かりき
第7章 やがて風のように―うつ伏せのわれの背中はまだ無瑕なり
第8章 ふみ子幻想―木洩れ日の明るき朝は癒えたくて
第9章 哀しい愛の記録―亜麻の花むらさきに充ちてゐるべし
著者等紹介
中島美千代[ナカジマミチヨ]
福井県福井市に生まれる。第7回「開高健賞」候補作『青木繁と画の中の女』(TBSブリタニカ)でデビュー
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