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人間愛叢書
いのちの初夜

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  • サイズ B6判/ページ数 140p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784585012436
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0095

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

クリママ

57
死に場所を探しながらも、死にきれず、療養所に入る。「どれもこれも癩れがかった人ばかりで人間といふよりは呼吸のある泥人形であった」「にんげんではありませんよ。いのちそのものなんです」同病者の様子に、驚愕し、恐怖し、絶望する。癩病の激烈な病状が淡々と綴られる。あまりの悲惨さに、戦時中や癩者に生まれなかった幸運を感じつつも、あとがきの「後期高齢者の時代、肉体とともに精神の崩れのなかで、生命だけの生を送らなければならない」に頷く。旧仮名遣いだが新漢字に直されており読みやすい。文学的にも大変優れているのだと思う。2019/08/22

pohcho

53
ハンセン病が感染力の高い業病とされていた時代。ハンセン病を発病した青年・尾田が病院に入院した日の夜のことが描かれる。自殺を図ろうとするも死にきれず、病棟に戻ると佐柄木という男に言葉をかけられる。佐柄木は5年前にこの病院に来たのだった。「どこまで行っても人生には抜け道があると思ふのです。」「人間ではありませんよ。生命です。生命そのもの、いのちそのものなんです。」自らもハンセン病に罹患し、23歳で夭折した作家の見つめた人間。50頁ほどの短編だが、今まで読んだことのないような世界が広がっていた。2021/01/21

あじ

43
人生とは何だ、生きるとは何だ。ハンセン病の主人公が胸を掻き毟りながら、死にゆく肉体を呪う。幽閉された病棟に巣くう死の支配から、抜け道を手繰り寄せていく。一篇一篇が絶筆、いのちの狼煙が上がるのを見た。ハンセン病を患いながら、腸結核で夭逝した作家北条民雄の昭和初期の短編集。2018/03/14

ゆうゆうpanda

39
『いのちの初夜』…癩病に冒され療養施設にやってきた尾田。自殺を試みるが死に切れない。先輩佐柄木の言葉が鋭く重い。癩になった刹那にその人間は亡びる。しかし新しい思想、新しい眼を持つ時、癩者の生活を獲得する時、再び人間として生き復へる…ぴくぴくと生きている生命が肉体を獲得する。先ずは癩者に成り切ってみることが肝心だ、と。20歳でハンセン病を発病した北条民雄。自身の体験を基にした小説は、ハンセン病の闘病の過酷さを伝えつつも、生命のしぶとさ、力強さを訴える。『吹雪の産声』では自らに新しい命を授けたかのようだった。2016/05/14

とうゆ

19
◯忌み嫌われ差別されたハンセン病の患者たち。自分がの体がまるで人間ではなくなっていく様な恐怖と戦うことの恐ろしさは、とても想像できない。この作者は、人間でなくなることでそれを乗り越えた。人間ではない命そのものに生まれ変わったのだ。自分には重すぎた小説だったが、それでも読んでよかったと思えた。2015/11/03

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