内容説明
四国遍路みち沿いの風早町に生きる人たちは、息絶えんとするニッポンのなかで、どう感じ、どう身もだえし、どう懸命に生きていくのか。庶民の目から「昭和の眺め」を描いた渾身の傑作長編、第二巻。
著者等紹介
早坂暁[ハヤサカアキラ]
1929年、愛媛県松山市生まれ。作家。本名、富田祥資。日本大学芸術学部演劇科卒業後、業界紙編集長、出版事業に従事しながらテレビシナリオを書き始める。以後、小説、映画シナリオ、戯曲、舞台演出、ドキュメンタリー製作を手がける。新田次郎文学賞、講談社エッセイ賞、放送文化基金賞、芸術選奨文部大臣賞、紫綬褒章、芸術祭大賞、モンテカルロ国際テレビ祭脚本賞、放送文化賞ほか受賞多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りゅっく
1
松山は秋山兄弟と子規だけではないと。たとえば水野広徳、伊丹十三父・・・市民の目を通して筆者が描きたかったという敗者の失敗の研究。ノモンハン事件がその一つという持論にうなずかずにはいられない。読みやすい文章といい愛媛に住む人の教科書的小説と言っておきましょう。2015/11/15
wasabi
1
多大な犠牲を払った明治以降の戦争、事変、そして惨敗のノモンハン事件の反省はなされなかった。確かに、今日でさえ「すんだことはもういい」と片付けることこそ潔く、美徳とする。ろくに論理的分析もせず、曖昧な経験則に依存した発展を期す。なるほど、自らの教訓になる。2010/05/23
suntalk
0
シリーズ2巻目。五・一五事件、二・二六事件勃発。戦争拡大に向かい出版、報道規制が始まる。斎藤隆夫の国会での聖戦批判演説、その結果懲罰委員会にかけられ全会一致で代議士の除名が決定される。「なんでこんなに日本の政治家は弱いのか」「ひたすらテロにおびえ自分の地位にしがみついているんだ」軍部に屈する政治家に対する水野広徳の言葉は、安倍元首相暗殺後、アメリカ政府のいいなりの岸田首相を始めとする今の日本の政治家の姿に通ずる。サヨク史観が根底に流れているのが気になるが、今の日本の置かれた状況と共通するものが感じられる。2024/02/29




