内容説明
寛政の改革で綱紀粛正の嵐が吹き荒れる中、次々と浮世絵や戯作の大ヒットを飛ばす出版人・蔦屋重三郎。洒落本の出版で財産の半分を没収されるが、持ち前の反骨精神で“謎の絵師”写楽を世に送り出す計画を進めていた。その矢先、孫の銀治が誕生する。山東京伝はじめ江戸を代表する文化人たちに囲まれ、蝶が大好きな昆虫少年に成長した銀治は、蝶を使った商売を考え、やがて「胡蝶屋」を開店するのだが…。蝶を愛する銀治が活躍するシリーズ開幕編。
著者等紹介
浅黄斑[アサギマダラ]
1946年、神戸市生まれ。関西大学工学部卒業後、技術系社員として会社勤務を経て、1992年『雨中の客』で小説推理新人賞を受賞しデビュー。1995年『死んだ息子の定期券』『海豹亭の客』で第4回日本文芸家クラブ大賞を受賞。近年は時代小説分野を中心に意欲的な作品を多く執筆している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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酔拳2
39
アサギマダラって読むんだ。蝶々の名前なのね。背表紙にシリーズ開幕編とあったが、主人公の銀治が活躍するのは本当に最後の方。話がスピードアップしてきたと思ったらすぐ終わっちゃった。面白かったけどね。本当かどうかわからないけど、教科書で見たことある戯作家?狂歌師とか絵師とか、みんな蔦屋重三郎と繋がってた。ほんとだったら面白い。浅黄先生はほんと江戸の書籍に詳しい。詳しすぎて前半追いかけるの大変。でも、次巻以降に期待できる!2017/03/21
むつぞー
8
蔦屋重三郎の孫・銀治を主人公にした物語。しかし前半は蔦重の事、後半が蝶が好きな銀治が蝶を写す新技術開発で新商売の話になるのかと思いきや、ラストで唐突に事件が起きて…ちょっとどこをメインにしたいのかが判らない話でした。シリーズ物の前日談番外編を先に読んでしまったかと思ったのですが、そうではないんですよね?当時の文化人を大勢登場させ、華やかな分その蘊蓄がちょっとうるさくもあったかもしれません。この先どんな感じになるのかはちょっと興味はあります。2012/07/21
すずめ
3
歴史に名高い蔦重の孫が蝶狂いで、商売をしつつ謎解きもしつつ…という話ではあるけれど、今巻では祖父蔦重とそれを取り巻く時代や人物たちのボリュームのほうが多い。冒頭の、火山の噴火や気象状況を同時代の世界のものと絡めるのは斬新だったけど、効果的だったかな? 0巻的な位置づけかも。次巻に期待。2012/05/13
まりりんりん
2
以前から気になっていた作者さん、初読み。博物学者にして商人、しかも探偵!?の胡蝶屋銀治が不可解な事件に挑む、写楽残映…とくれば、興味も引かれるってなもんで。。。ずっと蔦重の話。薀蓄三昧。それはそれで面白いけど、なかなか本題に入ってくれず、写楽もサラッと終わっちゃって。肩透かしを食らった気分。銀治が胡蝶屋を開業して、仲間が出揃って、今回は終了。さて続きはどうするか?考え中。2013/02/16
壱分銀知恵
2
江戸出版・蔦屋編のウンチク本…だよね。上っ面だけでもこれだけ押さえてれば知ったかできる気がする。私論を挟みつつも作者の旨さでスラスラ読めました。主人公にとっては準備巻。どう転んでもいいように色々と下地を整え…次巻、乞うご期待。。ズルいなぁ2012/11/06