出版社内容情報
最近「多動力」という言葉が流行っています。何かを成し遂げる「越境者」(=起業家)にとって、次から次に自分が好きなことをハシゴしまくる「多動力」が圧倒的に大事であり、それを身に着けることこそ、成功への第一歩だと言われています。
でも、「多動」がすべてなのでしょうか。
多動力には共感できる部分が多くありますが、でもそれがすべてではありません。
むしろ、何者かになりたい人=起業家にとって一番大切なのは、「1か所に腰を据えたうえで成し遂げる力」なのではないのでしょうか。「仕事」というものを地域のコミュニティー単位で考えたとき、あちこち動き回り次から次へ手を出してビジョンとビジネスを広げていく人よりも、その地域に根ざし、その地域のことを理解し、腰を据えて物事にしっかりと向きあっている人にこそ、仕事をお願いしたと思うものです。そしてそれは、過疎化・少子化にさらされている地方都市の現状を鑑みればなおのことではないでしょうか。
本書は、著者自身の実体験や経営コンサル経験、フランチャイズ経験をもとに、「地元」を作ることがいかに大事であり、将来の自分に役立つか。そして、そこで名士として扱われる人物が、いかに「何かを成し遂げた人物」であるかを「静止力」として解説・提示し、生き方に迷っている若い世代が何者か=地元の名士になるための一助になるように有用で役に立つ1冊を目指しています。決して多動力のアンチではありません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kentaro
51
ホリエモンは多動性を重視し、合理的に動こうとする若者が増えた結果、過剰なほどに無駄を敬遠するケースが目立つようになっている。 彼の「電話をかけてくる人間とは仕事するな」を都合よく解釈し、直接会っての対話や電話連絡が常識とされる重要な報告においても、一方的なメールで済ましてしまう人。揚げ句の果てには、退社時にはこの合わせ技で、ただメールで「辞めます」とだけ送り、いなくなってしまう人も増えているようだ。しかし著者は、こうした若者の言動は「多動力の悪影響」だと言う。真面目にコツコツ働く大多数がいて成り立つのだ。2020/02/01
あび
8
動くこと。あらゆることに手を出すことが注目を集めるなか、立ち止まり続けることは逆に強みである。 関係性を築き上げること。2020/11/03
FUJI燦々
5
非常に今の社会において必要とされていることを説いている本である。効率性や利益だけに注目する生き方よりも、社会貢献的・他利的な生き方のほうが貴重だと私も思うが、果たして読者のこころにまでその思いが届くかどうか疑問だなとも感じた。『そういう生き方でも楽に生きられるよ』ということを説き、皆を動かそうとの意図があるように私は思ったのだが、この主張で動く人はもうすでにそういう方向に動いているのではないだろうか。コミュニティや絆による束縛感を緩和する方法の具体的例なんかも書かれていれば、この本の価値は上がるだろう。2019/07/15
yahiro
4
★★★★☆ えらてん氏による「しょぼい自己啓発」本。堀江貴文氏の「多動力」のアンチテーゼ的な意味合いでつけられたタイトルだが、中身はユニークでなかなか面白い。これはこれで、昨今の風潮の逆張りとして十分機能すると思う。客観的に聞いたら価値を見出しにくい「地元の名士」になってみたいな、となんとなく思わせる書きっぷりはすごいですね。2021/07/28
hide
4
★★★★★変な宗教にケンカを売ったり、DaiGoにイチャモンを付けたり、N国党の立花をボロくそに叩いたり、挙げ句の果てには、誰も面と向かって文句を言わない堀江貴文にまでにケンカを売るような、一見するとめちゃくちゃな人に思えるかもしれないが、(それぞれの指摘内容をYouTube上で、聞くと理解できるが)この本を読むと、この人は、すごく勉強しているし、物事を深いところまで考え抜いている人だとわかると思います。「あとがき」に「およそビジネス書とは思えぬ終わり方」とおっしゃっていますが、私には心に響きました。2019/11/03