出版社内容情報
都市直下型地震で命はどう奪われたのか。阪神・淡路大震災5,036人の死体検案書を克明に検証。大地震から命を守る対策に迫る。
内容説明
阪神・淡路大震災で当日亡くなられた5036人の検案書。21年間埋もれていた一人ひとりの死の記録。私たちに残してくれたのは、次の大地震から命を守るためのメッセージでした。NHKスペシャル取材班渾身の書き下ろしドキュメント。
目次
序章 5036人の死―そこには救えた命があった
第1章 命を奪う「窒息死」の真相―地震発生直後
第2章 ある大学生の死―繰り返される悲劇・進まない耐震化
第3章 時間差火災の脅威―地震発生から1時間後以降
第4章 データが解き明かす通電火災21年目の真実
第5章 通電火災に備えよ
第6章 渋滞に奪われた命―地震発生から5時間後以降
第7章 いまだ進まない根本的対策
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
18
阪神・淡路大震災から20年。入手した死体検案書のデータをきっかけに、映像技術を駆使した「データビジュアライゼーション」で時間軸から被害の可視化を完全再現。地震発生後一時間までの死因では圧死ではなく「外傷性窒息」が多かったこと、通電火災の恐ろしさ、災害時のマイカー使用が交通渋滞を引き起こすことが検証されました。 亡くなった神戸大学生の話はとても印象に残りました。私も震災当時大学生、堺で独り暮らしの中、倒れてくる家財を布団の中で必死に耐えたのを覚えています。2021/01/23
モリータ
9
◆2016年刊。同年1月17日放映の同題のNスペの内容に基づく(視聴済)。取材・執筆陣には大阪・神戸放送局の記者も。◆5000名余の死体検案書を基に、多種多様な情報を一枚の地図上にビジュアライズ。発災直後から時間をおいての窒息死(≠圧死)や通電火災、幹線の渋滞といった将来の都市直下型地震でも生じうる問題に警鐘を鳴らす。中でも通電火災の箇所(第3-5章、神戸の記者担当)は、被災者個人にもスポットを当てており力がこもっている。◆災害下で作成された死体検案書、その死亡推定時刻の信頼性はどうなのだろうか。2023/02/15
Ted
4
'16年11月刊。△'15年1月に放映されたNHKスペシャルを書籍化したもの。2017/04/01
晴久
4
読んでいると泣いてしまう。過去の災害の情報を生かしてきちんと地震対策をしなければと思いました。古い建物に耐震対策、家具を固定、地震の際はブレーカーを落として、時間差火災を防ぐ(震感ブレーカー設置等)、大地震の際なるべく車を使わない、安否確認のため避難場所を決めておく、食料の数日分の備蓄、など。いまやれることは沢山あるなぁ。2017/01/15
aochama
3
21年前の阪神淡路大震災のデータ分析をして振り返り、新たな知見や教訓と忘れてはいけない経験が整理されています。窒息死が多かった理由、通電火災の脅威、救助活動の難渋など。何よりも震災時の生々しい声が刺さります。NHKでも2016年1月に放映されましたが、テレビでは見落としていた内容を確認することもできました。こういった経験や知見を後の世代に正しく伝えて風化させないことが重要ですね( ̄0 ̄)2017/02/18
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- 和書
- 灯をともす言葉 河出文庫