出版社内容情報
天皇のお言葉の真意を読み解き、現行憲法と皇室典範の全容を解説、法整備の解決策と今後の議題を示す「生前退位」問題の最良本。
内容説明
今の陛下は、天皇を国家・国民統合の象徴と定める日本国憲法により即位され、積極的に象徴の役割を果たして来られた。それが高齢化により困難となる手前で、自ら譲位を決断された。その叡慮を尊重するのは、日本国民の良識であり、政府・国家の責務であろう。本書は、「お言葉」の真意を読み解き、その背景にある現行憲法と皇室典範の全容を解説した上で、法整備の具体的な解決策と今後の議題を示す。
目次
プロローグ 今上陛下の鋭い問題提起
第1章 「生前退位」のご意向を読み解く
第2章 「天皇陛下のお言葉」を読み解く
第3章 憲法の規定する象徴世襲天皇
第4章 皇室典範に規定された皇室制度
第5章 高齢譲位の実現方法と残る課題
エピローグ 次の代始への展望
著者等紹介
所功[トコロイサオ]
昭和16年(1941)12月岐阜県出身。名古屋大学史学科・同大学院修士課程卒業。皇學館大学助教授・文部省教科書調査官を経て同56年(1981)より京都産業大学教授。法学博士(慶應義塾大学・日本法制文化史)。平成24年(2012)より京都産業大学名誉教授、モラロジー研究所教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mitei
336
著者もまた皇室の安定した継承をきちんと考えられているが、やはり譲位というのは必要だなと思う。それに天皇陛下もおっしゃるように譲位は長い歴史から見て当然あるべき制度だなと思った。臣民は比較的好きな時に休めるが、陛下が休もうと思うと関連の法律全て変えないといけないのは本当に窮屈でご皇族方は自分の来し方も決められないし、そんな中生涯をかけてやっていただいていることに恐縮し感謝すべきと思うのが人の道だと思う。2017/03/04
うろん
8
譲位が行われる前に書かれた本なので現場とは若干のズレがあります。 譲位に伴う諸々の儀式があります。それが今上天皇御夫妻ではなく太上天皇陛下御夫妻が願われたように、国民に負担をかけないものという御言葉に沿うものであるように願うばかりです。 太上天皇陛下御夫妻には一国民として辛い時に、両陛下のおかげでどれだけ救われたか本当にありがとうございますと言う言葉しかございません。2019/09/18
犬養三千代
7
譲位がなされた今、そのシステムと法令を辿ると色々なことが見えてくる。「真相」とあるから何か別の期待もあった。しかし、所功さんの解説は丁寧で良かった。残念なのは次の世代に対する提言がなかった。先細りで何故かしみじみ悲しい。2021/01/08
謙信公
6
令和第1号読了にふさわしい。天皇(元上皇)陛下のお言葉は、考えに考え抜かれ、憲法に則り、政治への関与を避けつつご自分の言葉でお気持ちを述べておられる。皇室典範ができた時代には超高齢社会などは前提になく、生前退位の議論はあったが、日本という国家、皇室、国民すべてに最良の状態に落ちついたのではないか。その判断は歴史に任せるしかない。平成改元は昭和天皇崩御もあり自粛ムード。比べて令和改元はお祝いムード一色。上皇陛下への労いと、新時代への幕開け、新天皇陛下への期待。10連休を謳歌している国民多し。上皇陛下に感謝!2019/05/07
ココアにんにく
4
ご譲位の特措法が6月9日に成立したことをきっかけに読みました。平成30年までで翌年は新元号と思うと読むのに力が入る。新元号の選定などの項目に興味が。 天皇の存在を細かく規定した理由がわかった。明治期に西洋の憲法の概念を取り入れることにより皇室の法制も明文化せざるを得なくなった(158頁)。 ご譲位の本はまだこの1冊しか読んでいないので、賛否は分かりません。 女性宮家の問題。GHQが旧宮家を解体したのは天皇制を先細りさせる意図があったのではと思えます。旧宮家の復活ではダメなのか?2017/09/16