出版社内容情報
「神」と「仏」はいかなる存在なのか。いかにして一体化し、いかに切り離されたのか。その流れを古今の物語をまじえて追いかけていく。日本人にとっての神仏とは何かが、もっとも面白くわかる本。
内容説明
ふだん何気なく「神さま」「仏さま」という言葉を口にするが、そもそも神と仏を崇め敬う精神はどのように育まれてきたのだろうか。神と仏は同じものなのか、異質なものなのだろうか。お寺にも鳥居が見られ、神社の入口には仏・菩薩の姿をした神の像が置かれるなど、同じもののように考えられてきたのだが、それがいきなり切り離されてしまう。ではなぜこのようなことが起こったのか。日常生活の中に息づく神と仏の歩みを、その違いを含めて語っていく。
目次
第1章 神と仏の誕生
第2章 神と仏の出会いと和合
第3章 救いがたい世の中と来世信仰
第4章 神と仏のてんまつ
第5章 暮らしの中に息づく神と仏
第6章 神社のしきたり寺のしきたり
著者等紹介
由良弥生[ユラヤヨイ]
東京生まれ。明治大学政治経済学部卒業。出版社勤務を経て編集事務所設立。さまざまな図書の企画・編集及び執筆を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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新父帰る
6
神と仏の変遷史とでも言えようか。対立、共存、共生、習合、分離と変遷する。神は人類誕生ととものあるから、その歴史は長い。仏は欽明天皇の時代に遡る。この書ではユダヤ教、キリスト教、イスラム教に言及しない。あくまでも日本の神と仏が対象。怨霊とケガレ忌避意識は古くて現代でも存在する厄介な問題。崇徳上皇の怨霊は幕末から明治時代に蘇り、、配流先の讃岐から、京都の白峰神社に移したのは孝明天皇から明治天皇。その他、各宗派の思想や神社の成り立ちにも言及。後半は神社、寺のしきたりを分かり易く解説。儒教、復古神道にも触れる。 2020/10/28
どすきん
2
古代から確立していたと思っていた神道が、存在はしていたけれど経典や教義を持たない形であり、布教活動も無かったのだなぁ、と思った。特殊な例を除き社も必要な都度作られたりと、仏教の刺激を受けて様子も見受けられる。生と成長を神社で祝い、結婚式はキリスト式に憧れ、葬式と供養は仏教で。たぶん変わらずに続いて行くんだろうなぁ。2019/08/11
すうさん
2
とてもわかり易い本で参考になった。神や仏の誕生の由来から始まり、日本の神仏習合についての話につながる。「苦悩する神と近寄る仏」、「祟る神と鎮める仏の誕生」というようなテーマも、時代によって神と仏の立ち位置が変わる様子が解説される。これは時代の為政者の考え方や文化にも影響されていく。それとさらに参考になったのは、暮らしの中にいきずく神や仏について解説されている章である。入門書でありながら、広範囲に神と仏について書かれている。いわば神仏に関する教科書的な本である。興味のある方には最初の一冊でお勧めしたい本だ。2016/12/14
A.KI.
2
大乗仏教に対して小乗というよりいまは上座部というほうが多く見受けられる気がするけど、こちらは小乗と書いてますね…まあ、確かにそのほうが覚えやすいですが。神と仏が互いに影響しあって育まれた日本の宗教観。もし仏教が伝来せず、あるいは聖徳太子らによって保護されずにいたらどうなっていたのかなあと不思議に思います。2016/06/24
ぼいど
1
20年以上前に読んだ山岡荘八先生の「徳川家康」14巻に神仏と一纏めでのみ考えていた家康に天海が神と仏の違いを説く場面があり、それ以来ずっと気にはなっていたんですよね、神とは、仏とは……というのが。 それで読んでみたのですが、神と仏の出会い(習合)と別れ(分離)の成り立ちと成り行きを平易に説明していてわかりやすいですね。もちろん推測で書かれているところも多く鵜呑みにしてよいものでもないですが、論理展開にあまり無理がないので割と納得できます。これも1つの説に過ぎないと考えて読む前提において、良本だと思います。2016/11/30