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夢があふれる社会に希望はあるか

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  • サイズ 新書判/ページ数 190p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784584125021
  • NDC分類 159.7
  • Cコード C0236

出版社内容情報

高校や大学に通う若者とその親世代の人々に向け、「夢」と「仕事」をテーマに、仕事や職業を夢に持つことの危険性や、日本独特のキャリアプランニングの弊害を説きつつ、読者が「夢」というマジックワードをどのように咀嚼していくべきかを示す。

内容説明

夢を持つことは、いつもそれだけで良いこととして語られる。夢を持って努力する人は素晴らしいと賞賛されるし、夢を実現させた人が「あきらめなければ夢はかなう」と言うと、なんだかそんな気がしてくる。そういう意味で、この社会には「夢をあおる」風潮がある。しかし、夢を持つことはそんなに素晴らしいことなのか?「努力すれば夢はかなう」というのはある種の迷信だと、みんなどこかで気づいているはずなのに、夢がかなえられなかったときにどうすべきかについて、誰も言及しようとしない。こんな無責任な社会の中で、周囲の理想論に惑わされずに人生設計をする方法とは?キャリア教育の専門家である著者が提言する。

目次

第1章 夢を実現している人は、どれだけいるのか?(小学生の夢;そもそもの疑問 ほか)
第2章 キャリア教育は「夢追い人」をつくる?(「夢を強迫する社会」の出発点;個性的な消費へ ほか)
第3章 夢をどうとらえればよいか?(「夢」はマジックワード;「夢」には多様な意味がある ほか)
第4章 夢とどう向き合うか?(「夢」が見つからないとき;「夢」の実現を全力でめざしつつも ほか)

著者等紹介

児美川孝一郎[コミカワコウイチロウ]
1963年東京都の生まれ。東京大学教育学部、同大学院教育学研究科博士課程を経て、96年より法政大学に勤務。2003年よりキャリアデザイン学部助教授、07年より同教授(現職)。専攻は、教育学(青年期教育、キャリア教育)。日本教育学会理事、日本キャリアデザイン学会副会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

26
夢には力がある。でもそれは両刃の剣。特に就活で自己分析の折など、内側から湧き上がる夢がない、と自己を認識してしまうと、際限もなく自分の心を自分で傷つけていくことになる。◇目標を設定しそれを目指すことはモチベーションを高める。でもそれだけなら達成して終わり。夢があると、目標達成=次の目標の設定、という好循環が得られる。◇夢が強迫化するかしないかは、夢のあるべき姿に引きずられるから。否応なく引きずられる自分を意識すること、そしてプラグマティックに、それに近い「ありたい姿」を設定する。それが対処法なように思う。2016/06/22

ゆう。

20
夢を持つことは良いことだと誰もが思う。だけれども、著者は日本のキャリア支援のなかで、夢を持つことを強制されているのではないかと問題提起をしている。そのため、夢を育むことができない。他の著者の本も何冊か読んでいるが、問題意識は一貫している。この本では、夢を強制される社会構造まで深く取り上げられているわけではない。しかし、私たちは「夢が強迫する社会」のあり様を考え、夢を育むことができるためにはどうしたらよいのか、考える必要があるのだと思った。2020/08/22

MIKI(magicrose)

11
"「夢」というもののとらえ方を広げてみる"という著者の意見に賛成。やりたいことがあるのならそれもよし、でも、本当にやりたいことなんて、そう簡単に見つかるものではないと思う。"仕事には直結しなくても、自分は物をつくる系だとか、人を支援する系だとか、アイデアや企画を考え出す系" などのぼんやりしたもので十分。夢を実現させる場は仕事とは限らない。こどもに夢の押し売りをするのではなく、大人こそ、それぞれの経験の中から生まれてきた"実現可能性の高い夢"に向かって意識的に行動していけばよいと思う。2019/06/15

マグカップ

9
再読。「夢を持つことは素晴らしい!」「若者よ、夢を抱け!」このような言葉に翻弄され、焦る若者は少なくない。明確な夢を持っていないことに対して、落ち込むこともあるだろう。しかし、夢を持つことに対する肯定的な価値観は、所詮は社会によって意図的に作られたものだ。夢(職に関する)がないからと言って悲観的にならず、自分のスキルや好みなどと折り合いをつけながら、できそうなことから挑戦していければ良いのではないか、と思う。 2020/04/28

えむa

4
「夢というものは出会い頭の恋のようなもの」って言い得ていて妙だと思う。まさに「夢」はマジックワード。夢を語ることができるのは恵まれた階層、エリート層の若者くらいという欧米とは事情が違うけれど、夢を脅迫する社会に生きる日本の若者もそれはそれでなかなかしんどいもの。そんななかで夢というものにどんな風に向き合っていったらいいか、丁寧に解いてくれていて本当のキャリア教育ってこんなものなのかなと思いながら読んだ。結局自分の人生の絵は他の誰でもない自分が描くものなのだから。2016/08/29

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