内容説明
組織の旧式性や農兵の比重の高さを声高に指摘する識者も多い。確かに、都から遠い貧国である甲斐の限界は少なくない。だが、信玄の天下取りがかなわなかった真相は別にある。信玄を語る上で欠かせぬ、世界最古の兵法書『孫子』。その教義の限界が、信玄の天下人への道を大きく阻んでいたとしたら…。宿敵上杉謙信との川中島の激闘、徳川家康を一蹴した三方ヶ原をはじめ、旧来の歴史観がつくり上げた歴史の常識を打ち破る意欲作。
目次
序 武田信玄の新しい見方(歴史分析の必要性;分析方法の主体 ほか)
第1章 『孫子』の効用―甲斐統一から信濃制圧(甲斐の地勢と地政;権力の確立と甲斐の強化 ほか)
第2章 『孫子』対『呉子』―川中島の戦い(川中島の地政と上杉謙信の登場;天文二十二年の合戦から弘治三年の合戦まで ほか)
第3章 『孫子』対『孫子』―東海進出と関東との抗争(新たな膨張先・上野;勢力均衡の崩壊と東海進出―出遅れた『孫子』 ほか)
第4章 『孫子』の限界―『君主論』との比較(上洛の意味;上洛作戦 ほか)
著者等紹介
海上知明[ウナカミトモアキ]
1984年中央大学経済学部卒。企業に勤務しながら大学院に入学。2002年3月博士(経済学)。現在、国土館大学経済学部非常勤講師、東京海洋大学非常勤講師、国立民俗学博物館共同研究員、戦略研究学会古戦史研究部会代表、同学会研究編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Book Lover Mr.Garakuta
12
【図書館本】【速読】:軍学書「孫子」と武田信玄の戦争論とその功績を説明した本。2021/12/17
コッシー
1
孫子の限界を知っていても、信玄は頑固に戦っていた。信長との比較が面白い。2015/06/23
ソノダケン
0
信玄について知ろうと、平山優『武田信玄』を読んだがピンと来なかったので、やわらかそうな本書を手に取った。もっとわからなかった。2006年の本で「織田信長=革命家」説に依拠しており、議論の土台がもう崩れている。それにしても信玄と信長が直接対決していれば、どっちが強かったとか、戦国史のモヤモヤは少なくてすんだのに!2014/12/15