内容説明
性器描写の誇大視もさることながら、春画では画中の付文と呼ばれる戯作弄文中に、官能美の愉悦感を露に描写し、加えて性交の擬音語を加えて、性交の悦楽美を倍増して好色性を濃厚に露呈し、より一層の効果を醸し出している。かかる文学表現は春画以外、いかなる古典、近代文学には表現されていない。
目次
序章 官能美を奏でる―春画の中のよがり声
第1章 慶長の春―肉筆春画の黄金時代
第2章 俊才、柳川重信の春画―大判版画「すえつむ花」
第3章 豪奢なる元禄風俗―古山師重の春画
第4章 巨匠、北斎の画業―大判組物「ついの雛形」
第5章 豊麗なる官能美―菊川英山の「ますかがみ」
第6章 円山応挙と渡辺崋山―南蘋派の春画
第7章 艶冶なる女たち―画妖・大蘇芳年のエロティシズム
著者等紹介
福田和彦[フクダカズヒコ]
1925年大阪生まれ。文化学院文科、東京写真大学技術科を卒業後、アテネ・フランセに学ぶ。1958年より、金沢美術工芸大学産業美術学科主任を十五年勤める。1963年、第一回国際工業写真展(旧チェコスロヴァキア)グランプリを受賞。1967年より東洋、西洋美術研究のため、インド、東南アジア各地、欧米諸国(イタリアを中心に)にて長期滞在生活を送る。性哲学者・美術史家。WAS学会員
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