内容説明
アメリカ、ヨーロッパ、日本、アジア、そしてイスラム…それぞれの国の自画像を映し出した「戦争映画」から何を読みとるか。
目次
序章 破滅かサバイバルか
第1章 中近東イスラム圏諸国の戦争映画
第2章 アメリカの戦争映画
第3章 日本の戦争映画
第4章 反省の進化
第5章 和解と許しと名誉回復の映画
第6章 「敵」をどう理解するか
第7章 アメリカとベトナムは映画で和解したか
第8章 ヨーロッパ映画に見る和解への道
著者等紹介
佐藤忠男[サトウタダオ]
1930年生まれ。最初の映画評論集(56年)以後、今日までに百冊以上の著書がある。89年、妻である佐藤久子とともに映画による国際交流に貢献した功績により川喜多賞受賞。96年評論活動を通じての長年の日本映画への貢献により紫綬褒章を受章。現在、日本映画学校校長
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感想・レビュー
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ヴァン
6
映画はスペクタクルとして戦争を扱う歴史が長かった。ハリウッド映画ではそれは特に顕著であり、娯楽としてその場面に面白味を感じるのは多くの観客の共通心理だった。著者はそこを起点に映画で戦争を多面的に語る意義にふれる。この本を読んで『プライベートライアン』の印象を思いだした。一見、反戦をアピールしているようで、最後に星条旗が出てきてアメリカの正義を謳うしかけだった。映画の作りが巧妙なのである。いまの観客はストレートなメッセージを遠慮するということだろう。2023/05/29
昭和っ子
1
ルイ・マルの「鬼火」と「さよなら子供達」を見てみたくなった。 プロパガンダから戦争の被害、戦後の苦しさと反戦、さらには戦った相手の目で戦争をとらえようとする試み、と戦争を描く映画の内容の進化をたどっていた。太平洋戦争の終戦の日の8月15日は日本では悲しみの日だが日本に占領されていた国々にとっては喜びに沸いた日だった、という言われてみれば当たり前の事にはっとした。映画は、他者の気持ちになるという事にはとても適したメディアだな、と思った。2011/10/11