内容説明
1997年2月、成長した羊から取り出した細胞を使って、もとの羊と遺伝的にまったく同じクローン羊を世界で初めてつくることに英国のロスリン研究が成功したことが報道された。クローン動物づくりは、受精後間もない胚から取り出した細胞を別の未受精卵に移植する方法が確立され、優秀な牛の繁殖に応用されているが、成長した動物の細胞から複製をつくるのに成功したのは初めてのことだ。生物学上の画期的な成果といえる一方で、理論上は人間にも使える技術だけに議論を呼び、“クローン・ショック”が全世界を駆けめぐっている。研究者たちは、有用な利用法に向けてこの技術の活用を模索している。本書は、複製方法を解説しながら、最先端技術が生む「人間への活用の将来性」について考えるものである。
目次
1章 「ドリー誕生」までのクローン技術変遷史
2章 クローンはいかにつくられるのか
3章 クローン動物がつくられる本当の理由
4章 生物学とクローンの不可思議な関係
5章 絶対に見逃せない「医学への応用」
6章 クローン人間をつくることは禁じるべきか