内容説明
相手のクセを見抜き、スキを突く洞察力。メモ魔にして類いまれな情報収集、分析力。17回の優勝、9回の日本一を経験し、ミスター三塁コーチと呼ばれた男の頭脳とは。広岡達朗、森祇晶、野村克也、原辰徳…名将たちに仕え、育んだ究極の野球観。
目次
第1章 意識を変えれば強くなる(ネット裏から見えたもの;弱い選手はいらない ほか)
第2章 三塁コーチとは何か(三塁走塁コーチの仕事;どんな情報も漏らさない ほか)
第3章 勝つための野球コーチング論(自ら望んだ現役引退;最初の“衝突” ほか)
第4章 コーチ業に目覚めた二流選手時代(恩師との出会い;まだまだ足りないものがある ほか)
第5章 三塁コーチャーズボックスからの指揮(監督就任;適材適所 ほか)
著者等紹介
伊原春樹[イハラハルキ]
1949年1月18日、広島県生まれ。北川工高(現・府中東高)‐芝浦工大からドラフト2位で71年西鉄入団。76年巨人に移籍し、78年古巣ライオンズに復帰して80年限りで現役を退く(通算成績は450試合出場、打率.241、12本塁打、58打点)。選手では実績を残せなかったものの、指導者となって能力を発揮。81~99年に西武で守備走塁コーチなどを務め、西武黄金時代の“名三塁コーチ”としてその手腕が高い評価を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
99
プロ野球での名(三塁)コーチといえばこの方、伊原さんの著書です。常時軍団の西武ライオンズにて、数々の栄冠を手にし、西武、オリックスの監督を経て、ジャイアンツのコーチを歴任しました。野球に限らず、自分が従事する物事に対しての考え方は、とにかくしっかりとした信念を持たなければならないなと強く感じました。あとはやはり、自分が優先ではなく、周りの声、キモチをしっかりと把握し、皆で協力することが大切だなと。伊原さんといえばやはり対ジャイアンツとの日本シリーズでの、辻選手のあの伝説の走塁がすぐに浮かんできますよね。2020/06/12
シュラフ
10
野球好きを自負する自分であるが、三塁コーチの役割についての重要性について再認識させられた。三塁コーチは攻撃の際の軍師ともいうべき役割を担っており、作戦を立案して、その実行を指揮する役割を担っている。作戦の立案は、相手投手のクセ、相手野手のプレー態度、など相手チームについての細かい観察が必要。本当の意味で野球を知ってなければ務まらない。この本、面白かったのだが、欲を言えば、三塁コーチと一塁コーチの違い、三塁コーチと監督の関係、などについても解説があれば一層よかった。今年の西武の野球が楽しみだ。2014/01/03
牧神の午後
8
87年日本シリーズ西武VS巨人第6戦、最近もNHKの古田の番組で採上げられた、奇跡の走塁。初めてその走塁を見た時には、ただ呆然。印象的だったのは三塁コーチの腕がもげんばかりの大回転。その三塁コーチが書いた本。タイトルの通り、彼、伊原は一流選手ではなかった。ただ、だからこそ見えてくることがあって、かつ若い頃のアメリカ野球留学で得たことをしっかりと咀嚼し、十年の現役生活に別れを告げてから、真面目にコーチ行に取組んできた財産を活かしていると思った。巻末の三塁ベースコーチの心構えは必見の面白さ。2013/12/11
もえたく
5
伊原さんは、監督もやられていますが、三塁コーチとしての矜恃が、ヒシヒシと感じられる内容でした。阿波野や伊良部のエピソードなども出てきて、懐かしく、その率直な物言いに好感が持てました。2013/12/28
nutts
4
珍しい一冊。「中間管理職としてのコーチ業」にかなりの紙幅を割いている。めい監督?の本は多いが、こうやって指導者人材の育成プロセスが語られたプロスポーツの本は読んだ記憶が無い。また、組織論の観点から、上司・部下とのトラブルについても赤裸々に語っているところが非常に興味深い。ジャイアンツに残っているせいか、なぜ、原監督を支えてきたヘッドコーチが裏方にひっ込んだからについては、いつか書いてくれるのだろうか。ノムさん以来の書き手になる期待込み。2011/07/31