内容説明
双葉山、北の湖と並び立つ「昭和の三大横綱」の1人、大鵬は、ロシア貴族の血が流れる父と日本人の母との間に樺太で生まれた。たまたま敗戦で北海道に引き揚げることになった極く普通のこの少年の、相撲界の最高峰に辿りつくまでの苦難の道が、多くの関係者の証言と著者の巧みな筆致によって、実にリアルに描き出されている。
目次
第1章 数奇な運命(先祖は秋田佐竹藩の刀鍛治;白系ロシア人の誇り;突然きた二つの不幸)
第2章 2人の父(再婚―子供のための選択;許されざる命)
第3章 大自然の中で(芽生える一途さ;キヨ、三度目の選択;勤労奉仕表彰賞)
第4章 素直な少年の旅立ち(運命を変えた伯父;号令なしの英才教育)
第5章 大いなる鳥「大鵬」(幕下での鬼門「花田」;結婚十周年に男子万歳)
第6章 打倒柏戸(新入幕11連勝を柏戸にストップ;迷いと負けの底から)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のびすけ
18
第48代横綱大鵬。言わずと知れた昭和の大横綱。今は、王鵬ら納谷兄弟を紹介する際に用いられる「大鵬の孫」としてよく耳にする(大鵬の孫である前に、貴闘力の息子なんですけどね‥)。大鵬は、納谷キヨと白系ロシア人(正確にはウクライナ人)のボリシコ・マリキャンを両親に、南樺太の敷香で生まれる。母キヨは北海道から樺太に渡り、洋裁で身を立て、ボリシコと出会う。樺太でのエピソードは波瀾万丈のキヨの物語のようだったが、敷香での暮らしや、ボリシコの人となりなど、とても興味深く面白かった。→2021/03/20