出版社内容情報
松尾芭蕉が門人の曾良を連れ「奥の細道」の旅に出てから300年余り。世界を旅してきた著者が、「奥の細道」をたどる旅に出た。史跡を訪ねる旅のなかで、何を感じ、何を思うのか。
内容説明
世界を旅する著者が1日に1時間歩くことを目標に、路線バスを乗り継いで、「おくのほそ道」をたどる旅に出た。「おくのほそ道」は、1689年に松尾芭蕉が門人の曾良を従えて、東北・北陸から大垣に至るまでの旅を記したものである。ある夏の日、両国から船に乗って旅のスタートを切ったのだが…。時代や文化・社会も大きく変わったなかで、はたして、何を感じ、何を思うのか―。新たな出合いや発見を求め、いざ出発!
目次
第1章 深川を出発して旧街道を行く(旅立ちの地に立つ;芭蕉の生涯を振り返る ほか)
第2章 「おくのほそ道」という道を東北で探す(福島から仙台へ;「おくのほそ道」という道を歩く ほか)
第3章 最上川を越え新潟へ(なぜ山形県はラーメン日本一なのか;芭蕉が登った羽黒山、月山、湯殿山に… ほか)
第4章 金沢を出発し、終着の大垣をめざす(芭蕉はなぜ、病を押してまで金沢へ急いだか;曾良の几帳面さに支えられた旅だった ほか)
著者等紹介
下川裕治[シモカワユウジ]
1954年長野県松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。新聞社勤務を経てフリーに。アジアを中心に海外を歩き、『12万円で世界を歩く』(朝日新聞社)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雲をみるひと
30
海外での貧乏旅行で有名な作者がおくのほそ道の行程を辿った旅行記。おくのほそ道の行程といってもバスや鉄道利用がほとんどで歩行をほぼしていないことに加え、海外と違い国内ではハプニングがほぼ起きないことから淡々と話が進む印象。何度か強調されているバス接続の大変さがやけに印象に残る。旅ではなく時折出てくるおくのほそ道の分析を前面に出してもよかったかもしれない。2022/04/29
みこ
27
古代人のスキルで船を作り中国から沖縄まで渡るプロジェクトを連想したが、そこまで地理や歴史に関する学術的要素はない。むしろ序盤でセルフツッコミをしているようにテレビ東京で企画放送されそうな珍道中となっているので気楽に読めるし、学術的考察がない分、意外と芭蕉の心情に寄り添った内容になっている。コロナ禍においては読んでいる側まで旅行した気分になれるから有難味まで感じてしまう。ラストはまさかの「俺たちの戦いはこれからだ!」で締められている。2022/05/24
yyrn
25
最近の旅レポ的に芭蕉の旅を紹介するとこういう本になるのだろうか。旅の先々で読んだ句の考察もあるが、むしろ電車やバス、徒歩(原則一日1時間だけ)で芭蕉の足跡をたどった移動?記で、その途中で起こるトラブル(主に乗継ぎの悪さ)をいちいち取り上げるので、ああなるほど、そうだろうなという感想は持つが、企画ツアーのハウツー本とみれば面白いが、しかし、芭蕉の心情に触れたいのであれば(乗継やほかの仕事の都合などで飛ばさず)歩く箇所を優先すべきだったと思う。なお、行政界を越える路線バス移動のテクニックは参考になったw。2022/09/11
kuukazoo
14
アジアバックパッカー作家という認識だったので、あなたが『おくのほそ道』ですか?というのが第一印象。彼も60歳半ば。さすがに全行程徒歩は困難なので、路線バスや電車を使いつつ芭蕉が歩いたらしい旧街道を1日1時間歩く旅。いろいろ縛りが多く旅程を組むのが大変で、そのへんの苦労話が多い(スケジュール調整がうまくいかなかったのか、冬の北陸を旅する羽目になったのは何故としか)。そのせいか『おくのほそ道』と『曾良旅日記』を比較しつつ、旅の裏仕事を一手に引き受けた曾良への思い入れが強いのが面白い。曾良関連本は読んでみたい。2022/06/25
カツ
9
コロナ禍のせいか下川さんにしては珍しい国内紀行モノ。しかし、中途半端な内容で自分的にはイマイチでした。途中、少し前に読んだ「獄門島」で使われた句が出てきてので一人ほくそ笑む。著者は十年ほど前から俳句を始めたそうだが吉田類もやっているし、自分もやってみようかという気持ちになった。2023/06/30