出版社内容情報
仏教は宗教であり、日本の暮らしに根差した思想でもある。古代から今まで、私たちは仏教に何を求め、何を信じてきたのか。仏教史を見ることで、日本人の姿が見えてくる。
内容説明
厳しい修行を通して、悟りを開く―。これが仏門を志した人びとの最終的な目標である。しかし、そのために釈迦が定めた「戒律」とは違う形で、日本仏教は、独自の発展をとげてきた。なぜか。時代によって変わる人びとの悩みや求めに僧侶たちが応えるなかで、日本仏教は今の姿となったのだ。一五〇〇年の歴史を大きくつかむことで、日本仏教の「なぜ」を浮き彫りにする。
目次
第1 仏教とは何だろう
第2 なぜ仏教を受け入れたのか―飛鳥・奈良・平安時代
第3 中世仏教の新しさとは何か―鎌倉時代
第4 どのように広がり、定着したのか―室町・戦国時代
第5 江戸時代の仏教は堕落していたのか
第6 明治維新はどんな意味を持つのか―明治から平成へ
著者等紹介
松尾剛次[マツオケンジ]
1954年長崎県生まれ。日本中世史、宗教社会学専攻。山形大学名誉教授。東京大学大学院博士課程を経て、山形大学人文学部教授、東京大学特任教授(2004年度)、日本仏教綜合研究学会会長を歴任。1994年に東京大学文学博士号を取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coolflat
15
14頁。仏教には三系統があり種々の相違がある。第一は、南伝仏教と呼ばれるタイ、スリランカ、ミャンマーなど東南アジアの仏教だ。経典はパーリ語で書かれたものが用いられる。南伝仏教は上座部仏教と呼ばれ、修行者のみの成仏を目指すのが大きな特徴である。第二は、中国、韓国、日本など東アジアに広がった仏教だ。経典は漢訳仏典を使用する。この東アジア仏教は大乗仏教の系譜を引く。大乗仏教の立場は修行者本人のみならず他者の救済をめざす点に特徴がある。第三は、チベット、シベリア、モンゴル、中国などに展開しているチベット仏教だ。2024/03/01
はぐ
5
日本仏教の1500年を時系列に追える。最澄さん、空海さんをはじめ、中世に活躍された法然さん、親鸞さん、日蓮さん、道元さんなど、各宗派の祖師である僧侶の活動についてもまとめられており、それらを読み進めていくと、僧侶になる方々の多くは幼いころに母親をなくしていたという共通点に気づく。これは仏教の祖であるお釈迦様もそうで、何かしらつながりがあるのだろうかと感じた。2022/08/30
nob
5
日本の仏教の教えと他国のそれは全然違うし、同じ日本でも時代によって宗派によってまた違う。政治と不可分だった奈良・平安時代は「官僧」主導。中世、個人意識とともに生まれた大衆の悩みに対応するために「遁世僧」たちが新宗派を開く。近世は形式主義に堕落したと批判もある一方、教学が深化し国民宗教として定着した時代でもある。維新後の廃仏毀釈運動を乗り切れたのは、培ってきた組織力のたまもの。新宗教の出現は、官僧から遁世僧への移行と重なるものを感じる。結局仏教って何?ひとくくりにくくることはできそうにない。2022/03/25
ナリボー
3
9/10 わかりやすい大学の講義を受けているように、体系的にわかりやすく学べて知的好奇心が強く刺激された。2023/04/21
やす
3
タイトルに偽りなし。 繰り返し読んで流れを理解したい。2022/09/10