出版社内容情報
増える一方の高齢受刑者、処遇困難者……。今、刑務所で何が起きているのか。罪の重い長期受刑者を収容するLB級刑務所、女子刑務所、医療刑務所など、塀の中の最新事情を探る。
内容説明
今、塀の中では何が起きているか。増える一方の高齢受刑者と再犯問題、外国人受刑者、処遇困難者…。「塀の中はまさしく社会を映す鏡」。刑務所問題をライフワークとする記者が、その最新事情を徹底取材。社会が解決すべき問題は塀の中に凝縮されている。
目次
第1章 処遇困難者―深刻な高齢化と再犯問題
第2章 LB級施設―無期懲役者たちの叫び
第3章 塀のない刑務所
第4章 神輿づくりで受刑者を更生
第5章 女子刑務所
第6章 医療刑務所
第7章 塀の外に出てから
特別編 元オウム信者との“面会記録”
著者等紹介
清田浩司[キヨタコウジ]
1967年群馬県生まれ。テレビ朝日報道局デスク。91年慶應義塾大学卒業後、テレビ朝日に入社。報道局社会部、ニュース番組「スーパーJチャンネル」「報道ステーション」で記者、ディレクターを務める。95年の地下鉄サリン事件発生時から20年以上にわたり一連のオウム真理教事件・裁判を取材するとともに、刑務所取材をライフワークとする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GAKU
34
テレビ朝日で記者、ディレクターである筆者が全国の刑務所を取材。女子刑務所、医療刑務所、塀や鍵のない刑務所、囚人の高齢化、出所後の一時保護施設等多岐にわたって現状が書かれています。高齢の囚人に関してはもはや老人ホームのようです。万引きや覚醒剤を繰り返して何度も収監される囚人たちは、住むところも職も見つけることが出来ない外の社会よりは、もはや刑務所の中の方が居心地が良いのでは?と思える現状も。実際そこで働いている看守の方々は大変だとは思いますが、再犯率の高い今の刑務所の状況に関しては疑問に思うことも。 2024/05/20
ゲオルギオ・ハーン
26
刑務所といっても種類がいろいろあり、著者はテレビ朝日の報道局デスクとしてそれぞれの現場で受刑者や刑務官などの関係者へインタビューした内容をまとめている。書き方として受刑者に同情的、服役した人々の社会復帰をもっとフォローしていく制度づくりが必要ではないかということをはっきり問いかけているので読みやすかった。刑務官や著者たちの前では「再犯しません!」とはっきり言いながらすぐに再犯してしまう受刑者たちの話を読んでいるとどうにも罪や悪いことをしたという意識が軽いのでは、と私は所々疑いながら読んでいた。2021/08/21
bapaksejahtera
13
テレ朝でオウム事件を追った著者が、刑務所取材に注力、高齢化と外国人の増加の中の刑務所事情をルポする真面目で重厚な本。一時期刑務所の収容力を超える受刑者の増加が伝えられたが、最近は収容率80%と適正率に近づいているという。しかし社会の高齢化の波は刑務所を襲い、彼らの生活習慣を想像すればその影響はシャバを上回るのも当然と思う。高齢で生活力のない彼らが、社会に再び受け入れられる困難は思い半ばに過ぎる。特別調整と呼ばれる出所後の生活支援もどこまで機能するのか。医師不足に悩む医療刑務所は今後とも機能しうるのか。はて2025/05/07
すーぱーじゅげむ
7
万引きで懲役を受けている70代女性が「ここは厳しいことも多いけれど、友達ができるから心地いい。外に放り出されたらまた一人ぼっちになってしまう。そちらのほうが寂しい」と言ったのが印象深かったです。懲役という刑罰より、出所後の仕事がなく、孤立することのほうがよっぽど刑罰っぽい感じがします。一回罪を犯したら実質的に再起不能というのは人権的にどうかと思う一方、私が遺族なら加害者には一生不幸でいてほしいと考えるかもしれないし、難しいです。2023/07/12
てくてく
6
テレビ取材をまとめたもの。副題に「刑務所で何が起きているか」とある様に、刑務所の最近の動き(東日本成人矯正医療センターなど)をとらえているので、制度に関する具体例を紹介する際に参考になると思った。2020/11/19