出版社内容情報
「磐城壽」という漁師が好む酒で知られた福島県浪江町の鈴木酒造店。大震災の津波で蔵が丸ごと流されるも8か月後に山形県長井市で酒造りを再開。蔵を仕切る鈴木兄弟を軸に、銘酒復活に懸ける家族の姿を描く。
内容説明
東日本大震災の津波で蔵ごと流されながらも、異郷の地で八か月後に酒造りを再開、家族一丸となって酒を醸してきた鈴木酒造店。その悲願は再び、故郷・浪江で酒を造ること。蔵を仕切る鈴木大介・荘司兄弟を軸に、銘酒「磐城壽」復活に懸ける家族の姿を描く。酒は人と人を結びつける力水。故郷へ帰る日がついにやってくる―。
目次
序章 奇跡のスピード再生
第1章 震災後の決断
第2章 故郷の海辺を思う
第3章 異郷の地で酒を造る
第4章 土を耕し、酒を醸す
第5章 故郷・浪江へ帰る日
あとがき―日本一であり続ける意味
著者等紹介
上野敏彦[ウエノトシヒコ]
1955年神奈川県生まれ。記録作家、コラムニスト。横浜国立大学経済学部を卒業し、79年より共同通信記者。社会部次長、編集委員兼論説委員を経て、現在二度目の宮崎支局長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tenori
21
東日本大震災で壊滅的に被災した酒蔵は、本書で取り上げられている鈴木酒造店だけではないのだけれど、原発に隣接した立地が同じ場所での再建を阻む。「地酒」という言葉があるくらい、日本酒は地域の生活体系と食文化に深く関わっている。原料となる米・水はもちろん、気候や風土、何を食べているか、どんなシーンで飲まれるか、地域の象徴であり誇りでもある。鈴木酒造店が浪江を離れて、それでも故郷を想い、必ず戻るとの信念を抱きつつも、長井という場所で多くの人に認められる酒造りをしている姿勢には頭が下がる。2020/02/29
roatsu
18
読みながら以前、鈴木酒造のことはテレビで見たなあと思い出した。読者という傍観者の立場で俯瞰するのが申し訳なくなる、震災と原発事故で故郷を追われつつもその状況から復活に挑んだ家族経営の老舗酒蔵のその後の歩みの物語。震災による数々の苦難を背負いつつ復興に前進する福島とそれを担い、支える県内外の様々な人々の活躍を刻むルポでもある。また、鈴木酒造が醸す力強い港の男酒である磐城壽を始め数多く登場する魅力的な清酒と、醸造や消費の現場、清酒業界のあれこれについても文章の中に巧みに織り込まれ勉強になる。震災から10年近く2020/02/27
ようはん
16
東日本大震災の大津波と原発事故で被災した福島県浪江町の鈴木酒造が山形県長井市にて再興し、再び故郷の浪江町で酒造りを始めようとするまでの軌跡。大震災からもう10年になるが震災関連の描写は読んでて辛くなる。勿論、磐城壽等の鈴木酒造の酒もいずれ味わいたい。2020/10/31
ネムル
10
地元の料理にあう酒、地元で呑まれる酒か、いいなあ。と牧歌的に読んだわけではないが、津波の被害により山形(硬水から軟水の地)に移った後の活動にも、地元とは何か、復興とは何かへの問いかけが多くなされているように感じた。2021/03/10
二人娘の父
9
磐城壽を醸す鈴木酒造店の復活の物語。「食のルポに政治性や社会性を持ち込んではいけない」という著書のためらいは不要。福島第一原発事故がきっかけで、この蔵に関わる人々の人生は大きく変えられた。そしてその事故は明らかに政治の責任であることは、司法ですら認める事実。そのことを抜きにその姿を描くのはあり得ないと思う。熱意や思いが先行することの多い類のジャンルではあるが、大きな意味での社会的な背景や事実関係が描かれていて、私は正解だと思う。ためらうことはない。2020/12/20
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