出版社内容情報
日本との関係にも影響を及ぼす、韓国国内の激しい権力闘争。その根底にある保守派・進歩派による「南南葛藤」の実態を描く。「国交正常化以降で最悪の関係」はなぜ生まれたか。
内容説明
文在寅政権になって再燃した徴用工訴訟問題、慰安婦問題における日韓合意の骨抜き、国会議長による天皇謝罪要求発言…。日韓関係は「国交正常化以降で最悪」といわれるがその背景には、韓国国内の保守派・進歩派による深刻な葛藤が横たわっている。NHK前ソウル支局長が、韓国の内なる「南南葛藤」の深層を描く。
目次
序章 文在寅は「反日」なのか
第1章 韓国の内なる闘い―保守派・進歩派の「南南葛藤」
第2章 朝鮮半島分断の現在
第3章 保守派のジャンヌ・ダルク
第4章 「秘線」と「ロウソク革命」
第5章 文在寅政権が起こした地殻変動―保守派打倒の永続化
第6章 変調、そして日韓激震
著者等紹介
池畑修平[イケハタシュウヘイ]
1969年大阪府生まれ。92年東京外国語大学を卒業後、NHK入局。高松放送局、ジュネーブ支局長、中国総局(北京)、ソウル支局長、報道局国際部副部長などを経て、現在はBS1「国際報道2019」キャスターを務める。『韓国 内なる分断―葛藤する政治、疲弊する国民』が初の著書となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
85
徴用工問題をきっかけに最悪な関係となっている日韓両国。個人的には国と国が締結した条約をいとも簡単に無視し、しかもそれを一民間企業に責任を持ってくるという感覚が全く理解できない。文政権になってから日韓関係が何故こうも悪化したのか?朴政権のスキャンダルで政権交代したが故に前政権の実績を全否定しているうちに収拾がつかなくなった。経済政策で満足な結果が得られず、lame duck化した政権が国内の不満をそらす為に利用している。という見方もあながち間違いではないと思える。★★★+2019/08/01
skunk_c
49
本書を一言で要約すれば、「文在寅大統領は親北ではあるが反日ではない」というところで、これはきわめて重要。著者は彼が反日だとする日本の風潮は誤解だと断定するが、同感だ。問題は本書のメインテーマである「南南葛藤」、つまり韓国内の保守と進歩派の根深い対立。これが大統領制という仕組みの中で、選挙の度に増幅している感がある。特に10年ぶりの政権奪取を行った文率いる「共に民主党」の保守派批判が、対日政策の手ぬるさに及んでいたために上述の誤解となった。ただし、北との関係はというと、なんだか上手くあしらわれている印象。2019/12/31
禿童子
32
日韓関係を読み解く手助けにならないかと手に取った。韓国の保守派と進歩派のドッグファイト「南南葛藤」が、「帝王的大統領」により、韓国政治の揺れ幅の大きさを招いている。この観点からすれば「反日」は二次的な問題であり、ムン・ジェイン政権は「親北」であっても反日ではないと著者は見立てているが、残念ながら本書が7月に出版された後に、韓国がGSOMIAを破棄してしまったので、この見込みは悪い方に外れてしまった。パク・クネ政権の誕生から逮捕までの流れがよく理解できた。韓国政治を理解する情報をバランスよく解説した良書。2019/09/08
yyrn
20
韓国本はもうイイかなと思いつつ読んだが、読めば色々と教えられた。日本人の感覚では、敵対する相手を徹底的につぶそうとする韓国人の行動が常軌を逸していると映るが、そういえば日本だって昭和40年代にはまだ大規模なストや思想的対立からの流血事件が頻発していたのに、安保闘争の終焉とともに憑き物が落ちたように人々の生活は落ち着いていったと記憶するが、韓国ではあの時のような政治的興奮や緊張が、ずっといまも続いているようなのだ。すぐ隣に国の生い立ちでは正当だが狂った兄弟(北朝鮮)がいるせいなのだろうが、それにしても⇒2019/11/03
JUN
18
「南南葛藤」 政権交代が起きる度に、前政権を全否定することに注力する。そして強い世論。韓国は大変だな。政治に関心が薄い日本も問題だけど。2021/10/06
-
- 和書
- 文士と小説のふるさと