平凡社新書<br> 「武国」日本―自国意識とその罠

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平凡社新書
「武国」日本―自国意識とその罠

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  • サイズ 新書判/ページ数 288p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582858945
  • NDC分類 210.04
  • Cコード C0210

出版社内容情報

日本はサムライの国か? 昭和前期には軍国主義へと結びついた「武国」日本意識の来歴を探り、そこに潜む罠を剔出する。

はじめに
日本人の自意識/平和とサムライ/「神国」意識と「武国」意識

第一章 「神国」日本
1 「神国」とは何か
日本 ヨイ國、強イ國/神功皇后説話/神功皇后説話の変容/神功皇后説話の影響
2 平安・鎌倉時代の神国意識
神に守られる国/神を祭る国/神々の充満する国/野蛮未開の「神国」
神国と辺土のバランス/『平家物語』「教訓状」/皇室擁護・自国優越意識との関連
神頼み/神の力と「もののふのてがら」
3 蒙古襲来と自国観
「よろづの国にすぐれたる国」/日本の武具と武士の優越/東巌慧安の自意識と妄想
「武」は国家を乱す/「神風」としての総括/文永の役と武士の活躍
鎌倉武士たちの関心と視点/神国思想と蒙古襲来

第二章 弓矢の誇りと「武」の価値
1 弓矢の誇り
『松浦宮物語』/和国は兵の国/「武」の自意識の芽生え/弓矢の誇り
弓矢自慢と中国との対比/日本の合戦/大矢を射る武士たち
弓矢の誇りと「東夷」意識の克服/自国意識の成長
2 「武」の価値と軍記物語
軍記物語と「武」/『平家物語』と戦争被害/『平家物語』の義経
武士=夷への蔑視/「文武二道」/下降史観と「武」/東アジアの「文」重視
「武威」の用法/時代の変化と価値観の変化
3 武士の自意識の発達とその表現
「兵の道」/『平家物語』の「弓矢の道」/『太平記』の「弓矢の道」
『太平記』と武士/『義貞軍記』という作品/『義貞軍記』の「道」
『甲陽軍鑑』の「武士道」/武士と和歌/「文」への対抗としての「武」

第三章 「武国」意識の成立と展開
1 秀吉の「武国」意識と朝鮮出兵
日本弓箭きびしき国/秀吉の武国認識/「武」の日本、「文」の中国
吉野甚五左衛門の自国認識/吉野甚五左衛門と文禄の役
慶長の役と『朝鮮日々記』/朝鮮出兵の終わりと語りの始まり
朝鮮出兵の美化/批判と反批判/近松門左衛門「本朝三国志」/民衆に残る記憶
2 「武国」意識の理論化
「武国」理論の登場/吉川惟足の「武国」論/「武国」史観/吉川惟足の位置
山鹿素行の「武徳」論/『中朝事実』の背景/山鹿素行の歴史観
「天瓊矛」と井沢長秀/「武国」論の定着/明清交替と「武」の下降史観
自他共に認める「武国」/「武」の下降史観の変質/会沢正志斎『新論』の歴史観
近頃の武士はたるんでいる
3 ナショナリズムと「文武」
幕末の危機と『尚武論』/『尚武論』の歴史観/『尚武論』の反「文」と「武士道」
「武国」論と儒学/ナショナリズムと儒学・国学/建前と本音、理想と現実
「武国」論と反知性主義

第四章 「武国」から「軍国」へ
1 「武国」意識の広がり
「武国」意識と庶民/『漂流記談』/漂流者音吉の「武国」意識
アメリカは日本の武威を恐れたか/武国意識と義経の物語
蝦夷地への関心の高まり/近松門左衛門の問題/英雄渡航伝説
義経渡満説/義経ジンギスカン説の登場/義経ジンギスカン説と小谷部全一郎
2 幕末維新期の「武国」論
吉田松陰の「武国」意識/「急務策一則」の危機意識/『幽囚録』の歴史観
『幽囚録』と近代日本/尊皇の志士・平野国臣/「武国」論と明治維新
3 「武国」論と「軍国」日本
軍制改革と『軍人勅諭』/『軍人勅諭』の歴史観/『勅諭衍義』と「武国」神話
近代「武士道」論と「武国」論/足立栗園『武士道発達史』
『武士道発達史』と「武国」神話/井上哲次郎の『武士道』/重野安繹と「武士道」論
昭和の歴史学と「武士道」論/戦時下の「武国」論/「軍国」の国民道徳

おわりに
「武国」論の流れ/伝統とは何か

参考文献
依拠テキスト

あとがき


佐伯 真一[サエキ シンイチ]
著・文・その他

内容説明

日本人がいまなお持つ「サムライ」という自己像―日本は「武国」だという意識は、一六世紀末頃から始まり、二〇世紀前半、「軍国」意識として頂点に達した。しかしそれまで一〇〇〇年の歴史時代、この国の人々の自国イメージはまるで異なっていた。なぜ、どのように、「武国」意識は育ったのか。そこにどのような「詐術」が含まれていたか。古代から現代まで、「詐術」をも含んだ自国意識変遷の道筋をとらえる。

目次

第1章 「神国」日本(「神国」とは何か;平安・鎌倉時代の神国意識;蒙古襲来と自国観)
第2章 弓矢の誇りと「武」の価値(弓矢の誇り;「武」の価値と軍記物語;武士の自意識の発達とその表現)
第3章 「武国」意識の成立と展開(秀吉の「武国」意識と朝鮮出兵;「武国」意識の理論化;ナショナリズムと「文武」)
第4章 「武国」から「軍国」へ(「武国」意識の広がり;幕末維新期の「武国」論;「武国」論と「軍国」日本)

著者等紹介

佐伯真一[サエキシンイチ]
1953年、千葉県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、青山学院大学文学部教授。専攻は日本中世文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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kawasaki

11
「わが国は「武の国」である、ゆえに優れている」という日本の自画像の、時代ごとの変遷を追いかけていく。「武国」思想は「外来思想かぶれ」のいけ好かないインテリに対するアンチという点で「反知性主義」に似ているであるとか、作られた「伝統」への注意喚起など、現在の状況に絡めた読み解きも。義経=ジンギスカン論の広がりに、「有名な識者」が「本当かどうかわからないけど(たぶん嘘だけど)本当だったら面白いよね」的に、若干無責任な形で言及したことが寄与してしまってる点などは、現代にも通じるように思う。2020/07/29

nagoyan

6
優。鎌倉後期までは神国意識は「武」とは結びつかず、却って武を野蛮とする意識と結びついていた。太平記が成立する頃には従来の「文」から「武」(弓矢の道)はそれ自体の価値と論理を有するものとして自立する。ついに、秀吉の「弓箭厳しき国」意識において文を超える。日本人は東アジアにおいて異様な「武」に価値を置く国として自己像を形成し、それが幕末の危機において反発力と作用した。元寇時に、元軍の主体が大量挑発された農民兵がもつ小柄の弩に対し専門兵士である武士は大弓を扱っていたことに誇りを感じたとする点は聊か示唆的である。2018/12/29

Myrmidon

6
おお、ここしばらくの自分の問題意識にかなり合致した。「武」に優れた国としての日本観がいつごろ、どのように成立してきたかを多くの資料から描く。特に儒教的「文」を公家の文化である詩歌管絃と矮小化して、それと対立させて「武」を称揚する近世武士の無教養な言説とか、ある種の納得感があって面白い。やはり「武国」意識が庶民レベルで広がるのは江戸時代だったが、江戸幕府公式の朱子学イデオロギーよりむしろ、大衆芸能や新興神道、国学、水戸学など、ある種アンオフィシャルなトコから広がるのは興味深かった。2018/11/18

oooともろー

5
「武国」論史。「日本は武の国である」という自意識が古代から近代までどのように変遷してきたのか。これまで読んだことがなかったタイプの本。著者の根底にあるのは現代への危機感。2020/02/03

ishilinguist

5
「武国」という日本の自国意識がどう形成されてきたかを詳細に描く。幕末の漂流民「音吉」の、日本の武威でアメリカは追い返せる、という認識が特に新鮮であった2018/12/02

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