出版社内容情報
巨大な需要に応える食肉生産の急増の条件を、馬、羊、豚、牛のブリーディングの営みに探り、近代を駆動した「改良」の思潮をたどる。
越智 敏之[オチ トシユキ]
著・文・その他
内容説明
近代を駆動するimprovement(改善)の思潮のなかで、品種改良によって、羊をまた牛を、巨大化させ、牧草を肉に変換するマシンに仕立て上げ、大量の肉を供給。人間の品種改良まで展望させるほどに巨大なインパクトを与えた、食をめぐる革命の物語。
目次
第1章 革命以前
第2章 囲い込みと農業革命
第3章 品種改良のロジック
第4章 馬のブリーディング
第5章 巨大化する羊
第6章 牧草を肉に変えるマシン
第7章 人間改良の思想
著者等紹介
越智敏之[オチトシユキ]
1962年、広島県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科英文学専攻修士課程修了。千葉工業大学教授。専攻は、シェイクスピア、アメリカ社会(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mealla0v0
5
近代初めの200年間において、イギリスでは肉食の需要が拡大し、その供給源となる羊の品種改良が進み食肉用に相応し品種が生まれた。この歴史的事実は革命的な変化だった。というのも、長らく自然は改変不可能なもの、環境がすべてを決めるという認識が支配していたからだ。だが、畜産家の実践は「人類の努力で」品種を「改良」できることを発見した。ダーウィンの進化論以前にである。この「努力」が今日の食卓、あるいは食糧事情を形作ったことは間違いない。だが、「人種改良」の夢、工場制畜産の源流であることも否定しがたい。2022/02/14
天乃かぐち。
4
興味深い一冊。環境決定論と遺伝子決定論、つまり血の力への信頼(改良への信頼)がどのように変遷したかを知るうえで重要な資料である。本書では触れていないが、過去を振り返ることで、たとえば、気候変動や都市立地などという現代社会の環境決定論も射程に入れる。2021/10/11
Hiroki Nishizumi
2
魚の次はおのずと肉。ただ不純な動機ゆえか面白味に欠けた印象だ。2019/02/26
ちさと
1
もう少し現代の肉食の情報があるかと思ったが、主にイギリスでの羊の品種改良の歴史についての本だった。アニマルウェルフェアとはほど遠く、でもその上に私たちの食生活が成り立っているんだなと、複雑。すべて否定はできないし、誰かがやってきたことなのだが。理想的な肉の食べ方って、どんななんだろう。 イギリスでも昔は魚をよくたべていたことが意外だった。2021/03/21
numainu
0
評価D2024/01/28
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