出版社内容情報
異次元金融緩和、負の公共事業、財政危機、年金・保険の崩壊……。普遍の科学という視点から、詭弁に満ちた経済政策に警鐘を鳴らす。
はじめに
第1章 個人金融資産の構造は何を語るか
――経済パワーゲームが政策を誤らせる
日米ユーロ圏の個人金融資産を比較する/データは複眼思考で読め/欧米を利する経済パワーゲーム/抜き差しならぬ状態を他国は望む/命ガネの年金をつぎ込む危険なワナ/危機を打ち破る科学的分析法とは/円暴落と国債破綻は目前に迫るか/詭弁がしばしば多数意見と化す社会
第2章 利息がつけば、通貨量は増えるのか
――日銀は通貨を異様に膨張させた
経済の基本中の基本に立ち戻る/全体が部分の総和であるおカネ/利息がついても、通貨量は増えない?/おカネは本来、経済の補助手段である/それでもおカネは信用創造で増える/おカネのコピーが生み出すマネーストック/おカネは魔物で、制御不能にもなる
第3章 穴を掘って埋め戻す公共事業は、ほんとうに有効か
――投資乗数が1を割ったケインズ経済
大恐慌時代の傑物学者ケインズ/穴を掘っても、投資乗数で景気が良くなる/ケインズ自身も言い訳した公共事業論/乗数理論は足し算ワールドに属する/ケインズは利率やインフレ率を導入していない/公共事業の投資乗数は1を割った/ケインズは第4階級の利益を重視した/減税は景気を良くできないのか/国の借金によって正味の景気は悪化し続ける
第4章 箱モノ予算はどれほど削減可能か
――年65兆円を浪費する負の遺産
巨額の負の遺産はどうして積み上がったか/日米構造協議で630兆円の公共事業へ/国家予算は年300兆円以上が動く/社会保障は国家予算の3分の1/600兆円に上る国の固定資産/維持管理費と更新費の恐るべき国民負担/日本の建設コストは世界の数倍かかる/箱モノ予算の推計は年65兆円規模/30兆円超の新規国債をゼロにできる
第5章 日本人の資産運用はどうなるのか
――年金・保険の崩壊を食い止めよ
マイナス金利に至った長期金利の推移/金利3パーセントが禁断の一線か/超低金利が厚生年金基金を崩壊させた/年金運用はカオス状態に陥ったのか/保険業界も存続不能の危機に立つ/失われゆく高度成長時代の幸せ/年50兆円が国へ流れる/安定ポイントでありえない金利政策
第6章 ヘリコプターマネーは何をもたらすのか
――詭弁化した経済の末期症状
財政危機と経済活性化のジレンマ/期待が政府のもくろみを阻止する/金融機関も日銀のもくろみを阻止する/産業革命期は良いデフレが続いた/ヘリマネはインフレと副作用を招く/貨幣数量説は成り立つのか/公共事業から小さな政府へ/フリードマンの主張は詭弁だらけか/アメリカ経済の結末を問う
第7章 崩壊のブラックスワンはいつ来るのか
――破綻確率は想定外に高い
複雑に流転する万物の科学とは/広範な現象を生む未知の法則性/株式市場に出現するブラックスワン/ベル型分布よりはるかに暴落確率が大きい/ヘッジファンドLTCMを襲った惨事/情報把握で暴落を乗りきれるか/フランス王政はミシシッピ・バブルで倒れた/極度のブラックスワンを招いた大戦争/異常な政策は暴落の報いを受ける
終章 中間層を待ち受ける危機
経済危機で国民は何を失うか/中間層が貧困層に落ちる/政府・日銀は経済危機を避けられるか/グローバル経済下で金融不安定化が起こる/リスクとしての国民意識にも注目せよ/人間と機械が競争する経済へ/リスクを隠して経済・社会は走り続ける
付録:限定合理性とパラドックスから、詭弁の根源を探る
人間の論理能力は不完全か/実質的に計算できない問題群/合理性を問う経済学の潮流/行動経済学が探る人間心理の穴/リスクを操作すれば、人は賛同する/ゲーム理論を変えたジレンマ問題/通貨安で近隣窮乏化を繰り返す/民主主義にはパラドックスが巣くう/実社会の政策決定はさらに錯綜する
あとがき
参考文献
逢沢 明[アイザワ アキラ]
著・文・その他
内容説明
政府・日銀が「偽りの論理」を用いて、持続不可能な「異次元」へと無理やり経済を再生させ続けようとすれば、ある期間、経済は改善の兆しを見せるかもしれない。しかし早晩、様々な矛盾と不自然な軋みが生じ、大きな報いを受けるだろう。その時、煮え湯を飲まされるのは、私たち国民に他ならない。本書では、歴史の諸事実と、普遍の科学という視点を交えながら、経済政策の詭弁を見破り、日本経済の現状に警鐘を鳴らす。
目次
第1章 個人金融資産の構造は何を語るか―経済パワーゲームが政策を誤らせる
第2章 利息がつけば、通貨量は増えるのか―日銀は通貨を異様に膨張させた
第3章 穴を掘って埋め戻す公共事業は、ほんとうに有効か―投資乗数が1を割ったケインズ経済
第4章 箱モノ予算はどれほど削減可能か―年65兆円を浪費する負の遺産
第5章 日本人の資産運用はどうなるのか―年金・保険の崩壊を食い止めよ
第6章 ヘリコプターマネーは何をもたらすのか―詭弁化した経済の末期症状
第7章 崩壊のブラックスワンはいつ来るのか―破綻確率は想定外に高い
終章 中間層を待ち受ける危機
付録:限定合理性とパラドックスから、詭弁の根源を探る
著者等紹介
逢沢明[アイザワアキラ]
1949年大阪府生まれ。京都大学大学院工学研究科博士課程修了。工学博士。京都大学大学院情報学研究科を定年退職。建設省、科学技術庁、関西文化学術研究都市、京都市などの科学技術・文化政策関連委員を歴任。現在、国際情報学研究所理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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青雲空
大先生