出版社内容情報
イタリア統一運動の光と影、「処女王」の真実、フランス革命に消えた悲劇の詩人──。時代背景がわかればもっとオペラは楽しくなる!
はじめに
本書に関わるヨーロッパ史上のできごと
第一部 イタリアの光と影
一 引き裂かれる島、報われない蜂起──シチリアの晩鐘/カヴァレリア・ルスティカーナ
シチリアを描き切ったオペラ/文明の十字路としての宿命/ヴェルディ初めてのグランド・オペラ/つくられた「イタリア統一」
二 対立から和解へ、平民総督「理想化」の理由──シモン・ボッカネグラ
北イタリアの典型的な港町/政争の絶えなかったジェノヴァ/ロマンティシズムという調味料/大改訂と政治の関係/ヴェルディの知られざる私生児
三 有力にして無力な「ヴェネツィア共和国総督」──二人のフォスカリ
もっとも高貴な共和国/フォスカリ家の栄光と没落/作曲家のあこがれを集めた街
四 「宮廷道化」という存在──リゴレット
芸術化された「異形の道化師」/個性的なモデルたち/上演禁止の戯曲をオペラに/マントヴァが舞台になった知られざる理由
五 歴史劇と個人劇のはざまで──トスカ
随一の人気を誇る「ご当地オペラ」/短かった「共和国」の理想/リアリティ豊かな人物造形/憎まれ役に堕ちた英雄/政治に無関心だったプッチーニ
第二部 イギリス王室の舞台裏
一 イギリス史を変えた王妃、オペラ史を変えたプリマ──アンナ・ボレーナ
歴史を動かした悲劇の王妃/巧みな心理表現とドラマトゥルギー/歌唱力と演技力を兼ね備えたプリマドンナ
二 断頭台の女王──マリア・ストゥアルダ
もうひとりの「断頭台の女王」/温室育ちの姫君
正反対だったふたりのプリンセス/エリザベスは悪女?/《マリア》を救ったマリア
三 メロドラマの題材になった「処女王」──ロベルト・デヴェリュー
「イングランド」と結婚した「処女王」/民衆を魅了した女王/寵臣たちの影/若き恋人の処刑/舞台芸術で描かれ続けたエリザベス
第三部 大国の栄光と没落──スペイン、ロシア、スウェーデン
一 「太陽の沈まぬ国」の虚と実──ドン・カルロ
オペラと違った「不肖の息子」/美化された王子/「太陽の沈まぬ国」の暗黒面/シラーを好んだヴェルディ
二 「屑集め人」が遺した「ロシア正史」──ボリス・ゴドゥノフ
オペラによる「ロシア正史」/跋扈する怪人物たち/インスピレーションのもとはプーシキン/「聖愚者」としてのムソルグスキー
三 「検閲」の向こう側──仮面舞踏会
国王暗殺の舞台はオペラハウス/検閲の餌食になったオペラ/「ヴェルディ万歳!」はフィクションか?
第四部 フランス革命がもたらしたもの
一 大革命に散った伝説的詩人──アンドレア・シェニエ
実は少ないフランス革命オペラ/断頭台に消えた若き詩人/歴史考証とドラマの幸せな融合/理想の芸術家像を投影した台本作家/《トスカ》との違い
二 恐怖政治下の受難劇──カルメル会修道女の対話
美しさと残酷さを併せ持つ音楽/恐怖政治下の処刑/革命で追いつめられたカトリック教会/「葛藤」を生きる修道女たち/ベルナノスとプーランク、それぞれの苦闘
三 大革命後のパリ風俗──椿姫(ラ・トラヴィアータ)
革命でも変わらない人間の本性/体験を小説に仕立てた小デュマ/パリ一の高級娼婦、生涯唯一の恋/《ラ・ボエーム》にも描かれた「パリの風俗」/「恋愛」は結婚のあとで/『椿姫』でデュマがめざしたもの/「道を誤った女」(ラ・トラヴィアータ)が生きた愛
あとがき
参考文献抄
【著者紹介】
東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業、同大学大学院修了(音楽史専攻)。大学院在学中、オーストリア政府給費留学生としてインスブルック大学に留学。大学講師、音楽物書き。著書に『今夜はオペラ!』『モーツァルト 愛の名曲20選』『オペラ 愛の名曲20選+4』『ようこそオペラ!』(以上、春秋社)、『バッハへの旅』『黄金の翼=ジュゼッペ・ヴェルディ』(以上、東京書籍)、『さわりで覚えるオペラの名曲20選』(中経出版)、『ヴェルディ』(平凡社新書)など。著述、講演活動のほか、オペラ、音楽ツアーの企画・同行も行う。公式サイト:http//casa-hiroko.com/ブログ〈加藤浩子のLa bella vita〉:http://plaza.rakuten.co.jp/casahiroko/
内容説明
「歴史劇」はオペラの華だ!大国の思惑に翻弄されたイタリア、プライドをぶつけあった二人の女王、「太陽の沈まぬ国」の裏側、怪しさ満点の人物たちが暗躍したロシア、そして近代史上きっての大事件フランス革命…。物語に取り上げられた史実や人物の実像をさぐりながら、オペラの魅力をあますところなく紹介。ヨーロッパの歴史を知れば、オペラがますます楽しくなる!
目次
第1部 イタリアの光と影(引き裂かれる島、報われない蜂起―シチリアの晩鐘/カヴァレリア・ルスティカーナ;対立から和解へ、平民総督「理想化」の理由―シモン・ボッカネグラ;有力にして無力な「ヴェネツィア共和国総督」―二人のフォスカリ;「宮廷道化」という存在―リゴレット;歴史劇と個人劇のはざまで―トスカ)
第2部 イギリス王室の舞台裏(イギリス史を変えた王妃、オペラ史を変えたプリマ―アンナ・ボレーナ;断頭台の女王―マリア・ストゥアルダ;メロドラマの題材となった「処女王」―ロベルト・デヴェリュー)
第3部 大国の栄光と没落―スペイン、ロシア、スウェーデン(「太陽の沈まぬ国」の虚と実―ドン・カルロ;「屑集め人」が遺した「ロシア正史」―ボリス・ゴドゥノフ;「検閲」の向こう側―仮面舞踏会)
第4部 フランス革命がもたらしたもの(大革命に散った伝説的詩人―アンドレア・シェニエ;恐怖政治下の受難劇―カルメル会修道女の対話;大革命後のパリ風俗―椿姫(ラ・トラヴィアータ))
著者等紹介
加藤浩子[カトウヒロコ]
東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業、同大学大学院修了(音楽史専攻)。大学院在学中、オーストリア政府給費留学生としてインスブルック大学に留学。大学講師、音楽物書き。著述、講演活動のほか、オペラ、音楽ツアーの企画・同行も行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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