出版社内容情報
組織に縛られない「個」の国イラン。バラバラな彼らには、旺盛な社交が必要。風通しがよくてかつめんどくさい社会を実体験から紹介。
【著者紹介】
アジア経済研究所
内容説明
成員個々の力の総和以上を効率的に実現すること、それを可能にするのは連携・協力のための組織化である。だから、組織に属し、組織に従うのは当たり前―このニッポンの常識は、イランでは通用しない。ひとびとはみな独立独歩を好み、非効率など意に介さず、いたるところで猛烈な社交力を発揮して交渉する。群れないけれどけっして孤独ではない「個人主義」、ここはまるで別の社会、別の生き方を提示する。
目次
第1章 グローバリズムの蚊帳の外
第2章 「一人でもできる」システム
第3章 テヘラン暮らし
第4章 ひとヤマ当てに広州へ
第5章 開かれた市場
第6章 頼られてこそ、人生だ
著者等紹介
岩崎葉子[イワサキヨウコ]
1966年東京都生まれ。東京外国語大学ペルシア語学科卒業。博士(経済学)。現在、日本貿易振興機構アジア経済研究所地域研究センター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みねたか@
19
1989年からイランの経済活動を研究する著者のイラン人観察記。公的機関の協議も相手が異動したらやり直しなど,組織の決定に頓着しない。逆に肩書は物を言わず,自分の目と耳とで相手が信用に足るか否かを判断。この社会に対応するには高いコミニュケーション能力が必須。一方,世話好き大の子供好き家族親族を大切にする。子どもの話をするだけでぐんと相手との距離が近づき,信用されれば身内のように支援してくれる。公私の別という概念が意味をなさない,疲れそうでもあり,気楽そうでもある。魅惑の世界2018/05/14
飯田健雄
15
宗教的なイデオロギーではなく、イラン商人の日常を描いているので、 親しみやすく読めた。バーグと呼ばれる庭園でのお茶会が特に印象的だった。2016/05/12
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
9
2015年刊。著者は経済学者。イランへは二度フィールド・ワークで滞在している。 西アジアの政治を知るうちに興味が沸いてきたイランという国。それと日本でほぼ確実に誤解されているであろう「個人主義」が合わさって読んでみる気になった本。 個人主義が「我儘勝手自己中心主義」であればそんな人間だらけで社会が成立する訳がないので要するにそれは誤解。イランは現実の個人主義者ばかりでどう社会が成立するのかという一例で大変興味深かった。ある程度は「外国での驚き体験」的レポートなものの、イラン特有の点もあった。→2023/04/13
ののまる
8
イラン人がいま近くにいるので、国民性をいろいろ知りたかったけど、アパレル関係の仕事の話部分は、ちょいわかりづらい。2018/04/16
Inzaghico
6
本書執筆当時、イランのアパレル業界では中国製品が市場を凌駕していたが、現在はどうなったのだろうか。中国製品台頭を苦々しく思う業者、千載一遇のチャンスと思う業者、自分のところは違うと一線を画している業者、それぞれの話が面白い。それでも、基本は「自分だけでなく相手にもいくばくかの利益が出る」商売。この思想はイスラム金融に通じている。2019/08/20