出版社内容情報
建築家が各地の世界文化遺産を旅するなかで人類普遍の相を見出し、その根源に秘められた生の意味を探る。
内容説明
大仏からインドのストゥーパ、ローマ神殿まで、世界の宗教建築はさまざまに存在するが、その不思議をシンプルに突き詰めてゆけば洋の東西を問わず発見できる「真実」がある。建造物に込めた権力者たちの世界認識、そこには人類共通の謎を解く鍵が秘められていた―。
目次
第1部 大仏建立の謎を解く(なぜこれほどまでに巨大なのか;なぜ大仏を建立したのか;巨大ハスの無限抱擁;神とほとけの葛藤)
第2部 インド、そしてローマへ(ストゥーパが語る宇宙創生;どのように礼拝するのか;宇宙を体現するパンテオン;中心と回転)
著者等紹介
武澤秀一[タケザワシュウイチ]
1947年、前橋市生まれ。建築家・著述家、博士(工学・東京大学)。東京大学工学部・同大学大学院をへて東京大学助手を務めたのち、建築設計事務所を主宰。東大、法政大学、武蔵野美術大学、放送大学で非常勤講師を歴任。建築をとおして政治史・宗教史・文化史の見なおしをおこなっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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koji
4
武澤さんの著作は3作目(いずれも新書)。相性のいい著述家の一人です。①建築をとおした政治、宗教、文化史の視点が新鮮かつ壮大、②問題の絞り込みが適切、③文体が読みやすく読み飽きないことが、親和性が高いようです。本書も3.11以後の世界観/死生観を探求する過程で、射程を宗教建築、なかでも世界誕生のイメージを刻印し、国家の最高権力者が関わった3つの建築物に絞った所に鋭さを感じました。これらの建築様式には、原点に回帰する輪廻があり、その先に祝福があるという著者の結論は安堵をもたらすものでした。再読に値する本です。2015/01/31
スプリント
4
大仏とインドのストゥーパ、ローマのパンテオンを比較し宗教建造物から導かれる世界観・宇宙観を論じています。仏教の宇宙観と多元宇宙論に相似が見られることなど興味深い内容でした。建築に興味が有る方におすすめです。2014/12/31
kawa
3
奈良の大仏に始まり、インドのサーンチーのストウーパ、ローマのパンテオン、宗教建築を、その宗教的世界観から分析し、それらの共通性を論ずる。仏像には興味があったが、宗教建築物にはさほど興味がなっかたので、非常に興味深く面白く読めた。インドやローマ、この本を持って訪ねてみたいものだ。2016/04/11
釈聴音
3
建築を題材にした宗教学の入門書としても使える。2014/12/04
はちめ
2
大仏とストゥーパとパンテオンに関する雑感が綴ってある感じ。それぞれ行きたくなる魅力は伝わった。2014/11/23