平凡社新書
ウィリアム・モリスのマルクス主義―アーツ&クラフツ運動を支えた思想

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  • サイズ 新書判/ページ数 239p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582856453
  • NDC分類 750.233
  • Cコード C0210

内容説明

工芸デザイナーとして著名なウィリアム・モリスは、マルクス主義者を自認する社会運動家でもあった。『資本論』の精緻な読みに支えられたその思想は、エンゲルスやレーニンを超えて、現代社会の変革への可能性を秘めている。マルクスの正統な後継者、モリスが到達した思想―。“コミュニティ社会主義”の全貌を明らかにする。

目次

序章 いま、なぜウィリアム・モリスなのか
第1章 モリスとアーツ&クラフツ運動(世界で一番美しい村、イギリスのコッツウォルズ―モリスの自然と思想;ヴィクトリア&アルバート博物館のグリーン・ダイニングルーム―モリスの芸術思想;「芸術は労働における人間の喜びの表現である」)
第2章 モリスとマルクス、エンゲルス(モリスが熟読した『資本論』―モリスとマルクスの接点を探る;マルクス、エンゲルスとレーニン主義―パリ・コンミュンとプロレタリア独裁;モルガン『古代社会』とマルクスのザスーリチへの手紙;藻リスの『資本論』解説)
第3章 モリスの社会主義論―共同体主義への道(『ユートピアだより:いこいの一時代―ユートピアン・ロマンスの章』;“News from Nowhere”の意味するもの;モリスの“共同体社会主義”)
第4章 現代に甦るモリスの“共同体社会主義”―東日本大震災と近代文明の大転換(近代文明批判の先駆者、モリスと宮沢賢治;瓦礫の山と職人の復権;無縁社会を克服する“共同体社会主義”)

著者等紹介

大内秀明[オオウチヒデアキ]
1932年東京生まれ。マルクス経済学者。東北大学教授(教養部)、東北科学技術短期大学学長を経て、東北大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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吟遊

11
デザインのモリスについてはちょこっと触れて、ほとんどはマルクス主義のなかでのモリスの立ち位置の話。2018/06/30

paxomnibus

4
私はモリスのデザインは好きだが思想には興味ないことがよく分かった。彼の装丁した本は美しいが、著作の内容とは別物である。それでも紹介されている文章の中には共感できるものもあった。「ほとんどすべての近代の経済学者(歴史を研究する者は少ないし、決して芸術は研究しない)は、目の前に何が進行しているかを判断するだけで、労働は一般的に嫌いなものとして前提される(以下略)」の部分は今も全く変わっていないだろう。「ものづくり」等と言葉のみ称揚し携わる人々に報いていないのは、経済学者にとっての「人」は労働力でしかないからだ2020/08/25

oDaDa

4
ウィリアム・モリスといえば、アラベスクなどから着想を得た独特で精緻な模様の壁紙や小物類で有名だと思う。だが彼はマルクス主義者としての一面を持つ。「芸術社会主義」とでも呼ぶべき彼の思想はまさに“俺得”な興味深き共同体社会主義である。彼の思想はエンゲルスからは「センチメンタルな空想的社会主義」と痛烈な批判をくらったが、マルクス主義も幻想の一つとして瓦解した今、モリスを含めた所謂空想的社会主義の思想を再検討してみるのも面白いのではないだろうか。3.11震災後の国難時、地域コミュニティ間の絆の強化が叫ばれたように2015/12/05

Hiroki Nishizumi

2
うーん、あまり感じるものが無かった2021/08/11

Ontama

2
副題の通り、モリスの思想的側面が紹介され、関心の幅が広がった。社会主義といえば、すなわち、マルクス・レーニン主義という刷り込みは日本特有のものらしい。モリスが『資本論』を読み解き、志向したのは、「労働=苦しみ」とする価値観を脱却し、共同体が生産の中心だったヨーロッパ中世における労働の伝統を理想化した共同体社会主義だという。モリスの自著『ユートピアだより』にも興味を引かれたが、モリスの言う社会主義への理解を掘り下げないと、お花畑にしか思えないだろうなー、という予感がする。2015/05/03

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