内容説明
戦前は朝日新聞を代表する記者として活躍、その後政界に転じ、小磯内閣で内閣情報局総裁を務め、戦後は保守合同を主導したことで知られる緒方竹虎。二〇〇五年に機密解除となった米公文書から、一九五五年の自民党結成にあたり、CIAが緒方を通じて対日政治工作を行っていた実態が明らかになった。コードネーム=POCAPON。彼はアメリカのエージェントだったのか。
目次
序章 大志を胸に抱いて―幼少期、青年期
第1章 朝日新聞筆政―戦前の新聞記者時代 一九一一‐一九四四
第2章 メディア界の統制―情報局総裁として 一九四四‐一九四五
第3章 戦犯指名と公職追放―一九四五‐一九五一
第4章 頓挫した「日本版CIA」構想―政府高官時代 一九五二‐一九五四
第5章 コードネーム“ポカポン”―保守政治家として 一九五五‐一九五六
著者等紹介
吉田則昭[ヨシダノリアキ]
1965年東京都生まれ。立教大学社会学部卒業、同大学大学院修了。社会学博士。現在、立教大学社会学部兼任講師、早稲田大学20世紀メディア研究所招聘研究員。専攻はマス・コミュニケーション史、比較マスコミ論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
7
2012年刊。著者の専攻はマス・コミュニケーション史、比較マスコミ論。新たなCIA文書を利用しての内容になっている。 第一章。朝日新聞入社前後から辞職まではほぼ日本の言論統制史。当時の言論統制は政府による一方的な物ばかりでもなく、メディア側の自発性も重要と。 第二章:メディア界の統制。小磯内閣に国務大臣兼情報局総裁として入閣。終戦工作として1.南京政府、2.スイス、3.スウェーデン、4.ソ連、5.ヴァチカンによる案があったが全て失敗。→2023/08/29
jack
2
翼賛運動など、今まで良いイメージがなかった。でも、考えていた印象と少し違うかも。 勝ち続けられる人間など居ないんだな。 人は、必ず朽ちる。 ☆4.32016/01/18
シグマ
0
緒方竹虎スパイ説を聞いたことあったけどこれを読む限りではちょっと意味違うかな2014/04/07
ダージリン
0
緒方竹虎とCIAとの間で強い関係があったことを初めて知った。緒方が政権についていたら、現在の日本は今の在り方とは随分変わっていたのかも知れない。2014/01/12
Francis
0
保守合同を実現した政治家緒方竹虎に、CIAと協力して戦後の日本に情報機関を作ろうとした知られざる一面があったことをCIAの公開資料をもとに考察。戦後日本とCIAの結びつきについての研究において有馬哲夫氏に続く優れた研究者が誕生したことを喜びたい。2012/08/24