内容説明
倒幕をもくろんで志士となるも、慶喜に仕えることとなり、幕府に出仕して渡仏するも、維新により帰国。新政府で官僚となるが、実業を志して野に下って―。数々の逆境を乗り越えて、四七〇あまりの会社を創り、社会事業を実践していった渋沢栄一。その波乱に満ちた生涯は、自らの言葉により語られていた。「論語と算盤」を体現した生涯を、現代語訳と新編集で読む。
目次
第1章 倒幕の志を抱いて―『雨夜譚』巻之一
第2章 試みに、一橋家へ仕官してみる―『雨夜譚』巻之二
第3章 フランスで受けた近代化の洗礼―『雨夜譚』巻之三
第4章 幕府瓦解、慶喜のもとへ―『雨夜譚』巻之四
第5章 新政府で元勲とともに―『雨夜譚』巻之五
第6章 日本に必要なのは会社だ―実業界篇
第7章 道徳と経済は一つ―社会事業篇
著者等紹介
渋沢栄一[シブサワエイイチ]
1840‐1931年。実業家。「道徳経済合一」を説き、470社あまりの企業の創設・発展に携わり、日本経済の礎を築く
守屋淳[モリヤアツシ]
1965年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。中国古典の研究家として、雑誌連載、講演などを数多く行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
59
2013.12.18(12/18)(初読)渋沢栄一著。 12/17 (副題=『論語と算盤』を道標として) (渋沢栄一) 1840-1931、実業家、「道徳経済合一」説く。 470社あまりの企業を創設、発展させ、日本経済の行く末を築く。 『徳川慶喜公伝』 (カバー) 討幕派~慶喜公に仕え幕府に出仕、渡仏、維新で帰国、官僚から実業へ。 『雨夜譚巻之一~四?』 2013/12/18
カレー好き
19
新紙幣の顔、来年の大河ドラマである渋沢栄一の自伝。日本経済の礎を築いた、その過程を知ることができた。大久保利通や伊藤博文などの人物評が辛辣で面白い。竜馬がゆくを読んでいると、幕府側の人物を敵のように見てしまっていたので、本書で慶喜などの印象が変わった。常にその先の日本に足りないものを視点に生きていたのだろう。養育院などの社会貢献も素晴らしい。☆5つ2020/07/18
Yuma Usui
11
渋沢栄一生涯の回顧録。尋常じゃない人生。非常に面白い。農家の跡取りの身で倒幕を志し、ふとした縁で一橋家の家臣になったと思えば幕臣に。幕府の行く末が見えている渋沢は、徳川慶喜の弟昭武と共にヨーロッパへ渡り近代国家の文明を学ぶ。渡欧中に幕府が瓦解した際の心情は如何程のものか。帰国後、大久保利通や大隈重信から強引に大蔵省に出仕させられ、廃藩置県や健全財政のために奔走するが意見が対立し辞職。即時国立銀行の設立に着手。また、株式取引所を設立し製紙や製糖、肥料や水道など多くの事業に関与し日本の礎を築く。なんて人だ。2018/06/25
mika_f
8
『論語と算段』を読む前に、渋沢栄一について知りたくて手に取った。元々農民だったんですね!尊王攘夷の志士から一ツ橋家への仕官後、日本は大政奉還でごった返している中でのフランス行き。その後は正に「日本資本主義の父」と呼ばれる道へまっしぐら!東急電鉄や時事通信、共同通信も彼が係わっていたんですねー。彼が「人として何を身に付け、何を磨き上げ、何を成し遂げたか」が伝わってきます。自伝なので仕方がないですが「私利を追わず公益を図る」との考えを貫き、社会貢献にも大きく携わっていたことがもっと記載されていればなー!2013/08/29
yori
7
★★★★★ 波瀾万丈で面白かった。大蔵省、銀行、株、水道、鉄道、、、その他多くの事業を起こしたという事で本当に凄過ぎます。同時代の政治家の中でもそれらの仕組みちゃんと理解できてる人は少なかったよう。幕末、明治の偉人達の人物評も面白かった。「資本家も労働者のお互いに敬愛し、良心的かつ思いやりの心をもって、おたがいのかんけいを温め合うのである。こうしてともに社会の福祉のために力を尽くすのだ。」素晴らしい。2012/08/23