平凡社新書
短歌で読む昭和感情史―日本人は戦争をどう生きたのか

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  • サイズ 新書判/ページ数 285p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582856194
  • NDC分類 911.16
  • Cコード C0292

内容説明

あの戦争の時代は、短歌の時代でもあった。夫を戦地へ送る“せつなさ”、故郷の妻や子への“いとおしさ”、戦局や生活のなかでの“よろこび”、そして“いかり”―。多くの人々が、心のつぶやきを、叫びを、短歌に託し、現代の私たちに残してくれた。歴史からこぼれ落ちた「感情」が、短歌とともに鮮やかに甦る。

目次

序章 短歌の時代
第1章 一九四一年十二月八日―日本、世界と戦う
第2章 真珠湾空爆とマレー進攻―一九四一年~
第3章 憂鬱なる時代の幕開き―一九二六~四一年
第4章 戦場と銃後の生活―一九四二年~
第5章 玉砕と大空襲―一九四四年~
第6章 原子爆弾と御前会議―一九四五年
第7章 一九四五年八月十五日―日本、敗れたり

著者等紹介

菅野匡夫[スガノマサオ]
1937年東京都生まれ。詩人。61年東京大学文学部フランス文学科を卒業、講談社に入社。女性週刊誌芸能記者、学芸図書・教養新書の編集を経て『昭和萬葉集』の編纂にあたる。その後編集を離れ、84年通商産業省の第一種情報処理技術者試験に合格し、電子出版やインターネットサーバーの立ち上げを担当。98年に退職後は、フリーライターとして歩き遍路(結願3回)やコンピュータ関連の記事を寄稿。文芸同人誌「文人」、俳句同人誌「鏡」に所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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かふ

22
『昭和萬葉集』全集の完成の席(1980年)で鶴見和子のスピーチで社会史・経済史・哲学史のいわゆる公の文章から現れて来ない個人の感情という側面から短歌を読み解こうとするものである。叙情(感情)性は同調圧力となってそれが短歌の定型なので、日本人の保守的な面だと思って遠ざけていたが、「感情史」はそれぞれの時代に一般庶民が持った感情の変化を記録していて面白い。それは公文書ではないが、個人の記録が文学的に歴史になるということなのかと思う。様々な個人の感情が社会と繋がっているのが面白い。2025/01/29

てくてく

7
「昭和萬葉集」の編集に従事した著者による、短歌を通して探る戦前・戦中・戦後の人々の感情史。短歌を日記代わりにできた人が、当時の人口のどの程度存在しているのかがわからないが、ある程度の感情を掬い取ることはできるのかもしれない。冒頭で取り上げられた戦死者について、いずれも大卒という当時の知的エリートであり、軍にとられて1年程度で亡くなっていることを思うと、昭和18年以降の2年で、どれほどの国を負うべき若者を失ってしまったのかと、暗澹たる気持ちになった。2016/11/12

hitotak

6
戦時中に雑誌等に投稿されたり、戦後改めて詠まれた短歌を、日中戦争から日米開戦を経て、敗戦に至るまでのほぼ時系列順に紹介している。真珠湾攻撃に参加した兵士の勇ましい歌や、日本軍が戦果を挙げていた頃の喜びに溢れた作品などは、今ではあまり目にする機会もないので(こう言うのもどうかと思うが)新鮮だった。敗色が濃くなり、決死の日々を送る無名の人々が詠んだ空襲の恐怖や物不足といった戦時下の苦労は、短歌という形態でより直截的に表現され、切実なものを感じる。2019/12/03

おけいさん

6
平安文学を読むと、すぐ歌が出てきてわけがわからなくなる。でも昭和の人たちも(自分も昭和だけど)ことあるごとにこんなに歌を詠んでいたのだということが、自分にとって新しい発見だった。韻文のリズムの力について考えさせられる。短歌とかかわりなくても、戦争終結に向けての記述など、緊張感あふれていて良かった。2015/03/20

キスイ

4
昭和、特に戦前・戦中・終戦直後に詠まれた短歌から、その時代に生きた人のリアルな感情を知ろうというような一冊。著名人だけでなく、市井の人がこの時代にどういうことを考え感じていたのかを知ることができる貴重な資料と思うけど、正直短歌詠んでる場合じゃなくね?というような場面を詠んだ歌も多くてなんだか不思議な感じ…。2015/10/28

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