内容説明
人と人のつながりの大切さが明らかになった今こそ、改めて“恋愛”というつながり方を考えてみよう。純愛に憧れ、モテるかどうかを気にする人もいるだろうし、相手に対して「キャラ」を演じている人もいるだろう。しかしそのことが、かえって他者との関係を息苦しく不自由なものにしていないだろうか。自分の身体と感覚を大切にしつつ、「共にいる喜び」を手にするための道を探る。
目次
第1章 「純愛」は怖い?―片山恭一『世界の中心で、愛をさけぶ』に学ぶ
第2章 「モテ」で自分を見失う?―姫野カオルコ『整形美女』に学ぶ
第3章 ゲームとしての恋愛・結婚―ミラン・クンデラ「偽りのヒッチハイク」に学ぶ
第4章 愛か打算か―松本正枝「恋愛の経済学」「貞操の経済学」に学ぶ
第5章 「他者への無関心」という技術―ジンメル「大都市と精神生活」に学ぶ
第6章 共にいることの喜び―D.H.ロレンス、マイケル・ジャクソン等に学ぶ
著者等紹介
草柳千早[クサヤナギチハヤ]
1959年愛知県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。慶應義塾大学大学院社会学研究科修士課程修了。株式会社生活科学研究所、大妻女子大学等を経て、現在早稲田大学教授。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takumi
12
セカチューや整形美人などから恋愛分析、面白い!けっこう論理的な分析で中々深い本です! 万物は流転すだけあって恋愛関係も変わっていくますね!時代によって恋愛感変わってきてるだな。2016/03/04
さとも
7
恋愛にフォーカスしてるかと思いきや社会学なども入り幅広く他者といることを考えさせられる一冊。「世界の中心で愛をさけぶ」をテーマに純愛の考察。モテとは世間がいいと思うものに合わせて振る舞うこと。感覚を通して他者とあることを改めて考えました。2020/01/09
ケー
6
かなりゲオルグ・ジンメルに依拠した恋愛論。10年以上前の本だけれど、そこまで古びた印象はなかった。ここから新たな恋愛に関する本を読んでみても面白いかも。内容は結構しっかり学術的なので、ライトな中身を想定して読むとイメージと違うかも。2022/07/14
サメ社会学者Ricky
5
だいぶ前に読んで再読。恋愛無用論と勘違いされやすい題名だが、実際は純愛、モテ、感性など、恋愛における概念を疑い再考していき、社会における人と人との関係性に迫る本。イデオロギー的恋愛にメスを入れるという言い方で間違いはないだろうか。本書を改めて読んで、恋愛のアーキテクチャで挙げられた問題に通ずるものを多く感じた。興味のある方にはぜひ読んでいただきたい。色々な前提を疑い、頭の悪い押し付けをしない著者の書き方は、恋愛という概念そのものををきちんと考える上で役立つと感じた。2014/09/12
まあい
4
社会学の、特にジンメルとゴフマンについての入門書。恋愛を題材に社会学の枠組みを説明しつつ、同時に通俗的な恋愛観を相対化していく。参考になる。(引用)「モテるためのポイント、それは自分の考え、価値観で動かず、そんなものはむしろしてて、世間がいいと思うものに合わせて振る舞うことである」(p.75)2017/02/27