平凡社新書
パリ五月革命私論―転換点としての68年

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  • サイズ 新書判/ページ数 477p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582855951
  • NDC分類 235.07
  • Cコード C0222

内容説明

植民地闘争からヴェトナム戦争へ、プラハの春から全共闘へ、そして「郊外暴動」へ。六八年五月、パリで起こった「革命」は、二〇世紀後半の世界史的転換点だったのではないか。それはまた「私」の変革への希望でもあった。政府給費留学生として現場に居合わせた著者による、迫真のドキュメント、革新的思想の再起動。

目次

第1章 六八年五月以前(そのとき世界は;ゴダールの世界)
第2章 ナンテール・ラ・フォリー(ナンテールと三月二二日運動;ナンテール分校からソルボンヌへ)
第3章 六八年五月の写真が語るもの(写真を撮るということ;前兆 ほか)
第4章 知識人の問題(六八年と知識人―予備的考察;森有正と加藤周一―私的回想 ほか)
第5章 六八年革命とは何であったか―四三年後に見えてきたもの、見えなくなったもの(忘却と想起の抗争;一九八九年、フランス革命二〇〇年祭と東欧革命 ほか)

著者等紹介

西川長夫[ニシカワナガオ]
1934年、朝鮮・平安北道江界郡生まれ。京都大学大学院博士課程修了。立命館大学名誉教授。専門は比較文化論、フランス研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Yukiko

8
再読でありながら、それに気が付かずに読んだ。面白かったのは、1968年5月の出来事をその場にいるかのように、たどる第3章、それだけでも十分に面白いのに、その後の知識人の問題、森有正、加藤周一は、あぁなるほどと思いながら読み、バルト、ルフェーブル、アルチュセールは、戦後のフランス思想の理解の手掛かりにしようと思った。前に読んだ時と比べて、5月革命の祝祭を味わい、その後の反文明批判の自分の日常と重ね合わせて読み、以前よりとても面白く読んだ。西川長夫は、この間読んだ、加藤晴久さんとひとつ違いの1934年生まれ。2023/01/15

ganesha

5
比較文化論、フランス研究が専門の立命館名誉教授による仏五月革命について。当時留学生として渦中にいたからこその「熱狂と祝祭的な気分」、ソルボンヌ解放の夜のグランドピアノとその後日譚、森有正、指導教授ロラン・バルトについてなど興味深く読了。2023/12/05

スミレ雲

5
【図書館本】あまり関心持てず、途中で挫折感。68年というか、70年前後の時代論なのかな。まだ社会主義というか共産主義に夢があったのかどうかよくわからないが。2018/12/16

Yukiko

3
 五月革命について最初に読む本としてお勧め。 1968年のフランス五月革命が、「私」が語り始めた最初の革命だとして、まず、著者本人の「私」自身の体験や記憶にこだわって、五月革命の展開を再構成する。当時の知識人たちの5月への立場も明らかにする。さらに、2010年「ジャスミン革命」と2011年東電原発事故の発生した歴史的視点から、五月革命の意味を考察する。 5月革命当時に現れていた、新植民地主義、国内植民地主義の問題が、その後、深まっていること、5月が世界システムにおける革命であり、近代批判、文明批判であった2014/06/16

Mitsuhiro Uji

3
私が大学で初めて受講した専門科目は、西川先生の「比較文化概論」だった。いまや外国となってしまった故郷・朝鮮半島について語るとき、思わず涙ぐむ先生の姿をいまでも鮮明に覚えている。そんな圧倒的な当事者性が西川先生の国民国家論にはある。本書でも五月革命に共感しながら、どこか疎外され、彷徨するところに“永遠の故郷喪失者”の姿を見るのは私だけか。「私論」に徹することで68年革命に向き合おうとする姿勢に、理屈だけで「研究」している若い研究者とは違う、西川先生の体で覚えた、鍛えの入った「学問」の味わいがある。2014/06/14

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