内容説明
占領期以後、アメリカは日本の何に注目し、どこに導こうとしていたのか。保守合同、日ソ国交回復交渉、再軍備、内閣情報調査室の設立…。「戦後体制形成」の重要局面に、アメリカはどのように関わったのか―。二〇〇〇年代に公開されたCIA文書を基に、戦後体制形成の舞台裏を探る。
目次
序章 記録から歴史の舞台裏を探る
第1章 CIA文書は何を語るのか
第2章 重光葵はなぜ日ソ交渉で失脚したのか
第3章 野村吉三郎と「日本海軍」再建計画
第4章 CIAはなぜ日本テレビ放送網建設支援を中止したか
第5章 緒方竹虎がCIAに送った政治リポート
著者等紹介
有馬哲夫[アリマテツオ]
1953年生まれ。77年早稲田大学第一文学部卒業。84年東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。93年ミズーリ大学客員教授。2005年メリーランド大学客員研究員。現在、早稲田大学社会科学部・大学院社会科学研究科教授(メディア論)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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軍縮地球市民shinshin
15
これも初期の著作。CIA文書を元にして解き明かした戦後秘史といった感じだが、後に著者はそれぞれ独立した著作として刊行している。気になったのは最終章。自民党の緒方竹虎が情報機関を創設するためにCIAの資金提供を受けたというもの。資金は現在の内閣調査室創設に使用されたという。吉田茂もCIAのような情報機関の必要を認めていたが、それほど大規模なものは必要と考えておらず、それで現在の内調となったようだ。緒方は朝日新聞のトップだった人物だが、戦後は保守派の政治家として活躍した。内調創設も社会党がソ連から秘密資金の提2022/09/23
キャル
4
敗戦後日本の政治やメディアの主流を操ってきたのは、CIAである。CIAの別組織とも言われるCSIS(米国戦略国際問題研究所)には、麻生太郎や安倍晋三なども度々訪れている
nagoyan
3
良。CIA活動記録からみた戦後日本史。必ずしも謀略史観ではないが。。それはCIA文書の性質上の資料制約の故か。第1章はCIA文書、第2章は重光葵、第3章は野村吉三郎、第4章は日本テレビ放送網、第5章は緒方竹虎について語られる。一貫しているのは、CIAの日本政界の情報収集と「ロビー活動」が、日本に反共、再軍備をとらせようと活動していることである。重光や日本テレビ(正力)はCIAによって見捨てられて、前者は没落し後者は電電公社に権益を奪われた。尤もCIAは保守同士の勝馬になっただけともいえる。野村は不気味。2010/10/14
ceskepivo
2
過去から引き継がれたものは未来を生みだす種となる、米国立公文書館に刻まれている銘だ(212頁)。戦後の日本政治にCIAがどのようにかかわってきたか、情報が他国を動かす武器となることを改めて認識させられる。「CIAと国務省は、重光や鳩山ばかりか、・・・池田や佐藤などに関しても、彼らの政治生命に関わる情報を握っていた。・・・日本のメディア関係者に流せば、いつでも彼らを失脚させることができる」(62頁)1950年代は共産主義の台頭の中で、日本のあり方をめぐり様々な情報戦が繰り広げられていた時代であった。2011/05/03
gkmond
1
今となってはただのネトウヨに成り下がった著者の過去作なんだが今の姿を知っているだけに前言あとがき笑える、みたいな汚染があった。内容は全部ふーんで読み飛ばした(本棚のスペース開けたくて積読本のなかから厚さが適当なやつを選んだ)。2023/08/16