内容説明
高度経済成長期に急激な成長を遂げた企業は、「○○家の家業」から「社会の公器」へと変わっていく。度重なる増資により、株式所有率が低下した創業者一族の立場は、非常に微妙なものになっていくのである。そして、「巨大企業の社長」という椅子をめぐり、虚実の駆け引きが繰り広げられることになる。世襲と脱同族の攻防を15の事例で描き出す。
目次
同族企業とは何か
トヨタ自動車/豊田家
パナソニック(旧松下電器産業)/松下家
三洋電機/井植家
阪急電鉄(阪急阪神ホールディングス)/小林家
東京急行電鉄/五島家
西武鉄道&セゾングループ/堤家
大正製薬/上原家
鹿島建設/鹿島家
ブリヂストン/石橋家
味の素/鈴木家
出光興産/出光家
日本生命保険/弘世家
武田薬品工業/武田家
松坂屋/伊藤次郎左衛門家
マツダ(旧東洋工業)/松田家
著者等紹介
菊地浩之[キクチヒロユキ]
1963年北海道生まれ。國學院大學経済学部を卒業後、ソフトウェア会社に入社。企業勤務の傍ら、論文・著作を発表。専門は企業集団、企業系列の研究。2005~06年、明治学院大学経済学部非常勤講師を兼務。06年、國學院大學経済学博士号を取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とりもり
4
「15大同族企業」とあるが、ページ数を見ても前半の6つ(トヨタ、松下、三洋、阪急、東急、西武)に力点が置かれている感あり。但し、それ以外がページ埋めかと言えばそんなことはなく、むしろコンパクトで良い。全体を通して感じるのは「世襲が悪なのではなく、後継者候補を甘やかすことが悪」なのだということ。その意味で、個人的に一番ツボだったのは武田薬品工業。跡取り息子の急死で、冷遇されていた(傍流の国際部門が長かった)三男坊が大胆な改革を行い、同社を不動の国内首位にしたというのがドラマチック。★★★★☆2012/12/15
リョウ
4
日本の同族企業の世襲と脱同族に焦点をあててかかれた本。結局は世襲であっても有能な人材が社長になるなら会社は発展するけど、次の代が無能だったときにどう転換するかということが大事だと思った。2011/03/28
ango28
4
前著の題材が必然裾野の広くなる財閥だった為、合併吸収を繰り返す系列会社が相入り乱れて把握し辛かったのに較べて今回はすんなり読める。場所を選ばず果敢に行動した豊田佐吉、小林一三、石橋正二郎、出光佐三、松田重次郎ら創業者と親に疎まれながら成果を上げた武田国男についてより深く知りたくなった。全く反対の意味で堤家も興味深い。松下電器、サンヨー、味の素、松坂屋は同族意識故に企業を傾けてしまうという典型例。脱同族への変遷は大企業の常だが、それを意とも介さず好調ぶりを発揮するサントリーが題材から漏れているのが残念。2010/10/29
スプリント
3
家系図をみると政治家が至る所で姿を見せていることに気が付きます。政財界の結びつきの強さが伺えますね。 本書で取り上げられた企業は同族経営からの脱却を余儀なくされた企業ですが、反対に今も強固な同族経営をしている企業についても実情を知りたくなりました。2013/07/13
rbyawa
2
e306、あとがきでも書かれているように「類書がない」分野の本で…ええ本当に、あと専門家の論文集と系譜の方がいらっしゃるだけだよね!(血統メインで企業にも触れてる) 初っ端から初代よりも優れた二代目がいた西武と東急などという表現をしているように、あくまで能力主義であって同族企業に対して批判的でも肯定的でもないのが特徴。小資本で設備投資費が少ない場合は同族経営が成り立っているところもあるのか。視点も公平で1冊目のシリーズよりもよくまとまってて読みやすかったかも、いや真面目に網羅して下さるのありがたいです…。2014/11/02
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