平凡社新書
検証 シベリア抑留

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  • サイズ 新書判/ページ数 285p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582855159
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C0221

内容説明

「東京ダモイ」(東京へ帰還だ)―。今から六五年前、満州で関東軍将校・兵士・民間人がソ連軍に拉致・連行され、強制労働を科された。推定5万3000人の死者のうち、約4割が埋葬場所さえ未だ分からないという悲劇はなぜ起きたのか。当時の情勢を踏まえ、日ソ両国の動きを詳細に検証。今日に続くシベリア抑留問題の本質とその淵源に迫る。

目次

第1章 国家補償を求める抑留者たち
第2章 極東ソ連軍の満州侵攻
第3章 スターリン秘密指令
第4章 捕虜の収容所生活
第5章 反軍闘争と民主運動
第6章 対ソ交渉の錯誤
第7章 捕虜蔑視という呪縛
第8章 「瀬島疑惑」の謎を解く
第9章 全面解決への道

著者等紹介

白井久也[シライヒサヤ]
1933年東京都生まれ。58年、朝日新聞社入社。経済部記者などを経て、75年から79年までモスクワ支局長。帰国後、編集委員(共産圏担当)。93年に定年退社後、94年から99年まで、東海大学平和戦略国際研究所教授。現在は日露歴史研究センター代表、学校法人杉野学園理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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モリータ

16
◆2010年書き下ろし。著者は1933年生、朝日新聞社出身(モスクワ支局長・編集委員を歴任)のジャーナリスト。著作には全抑協会長・斎藤六郎関係、ゾルゲ事件関連。◆日本政府の不作為、ソ連の不法行為の批判が随所にあり、事実のみ知ろうとすると面倒(ごもっともではあるが…)。しかしソ連の満州侵攻、対ソ交渉の過程、収容所生活、反軍・民主闘争、訴訟・立法の状況など、問題の要所は突いており、ここのところ読んできた瀬島問題も含めて頭の整理はできた。◆第一のコメの引用する流れは(勇み足もあるが)問題の基本軸と考えられよう。2021/12/12

BLACK無糖好き

4
戦後のシベリア抑留はソ連による国際法違反であるのに、関東軍の捕虜の役務提供の申し出により、酷寒の中強制労働に従事され、推定5万3000人の死者を出す悲劇となっている。また、収容者によってはモスクワの特殊収容所に送られ、洗脳され共産党員に転向し、日本での諜報活動に関わる可能性もあったのではないかと示唆している。しかし敗戦の混乱の中でソ連にはいいようにやられたといった所ですな。2015/02/12

CTC

4
著者は元朝日モスクワ支局長。散見される「天皇制国家」云々の記述には辟易、典拠の多くは孫引き。しかし好著。①抑留はスターリンの既定路線②ジャコリーウォ密約はなかった③45年6月御前会議後の対ソ「和平交渉の要綱」は、労力提供申し出を含む④ノモンハン戦捕虜500人がソに帰化した⑤瀬島は東京裁判でソ証人として、大本営命令は最終的に天皇の責任、との論を補完した⑤瀬島は種村、志位、朝枝と共にラストボロフの手下だったとの内調由来の怪文書が存在⑥厚生省が完備出来なかった犠牲者名簿を70の誕生日から作業した市井の人が完成。2014/10/04

Sansan Nag

3
元新聞記者による、シベリア抑留についての調査及び考察。英米露の密約、シベリア抑留中の労働の種類、戦後補償の問題、瀬島氏についての考察など。思想教育はソ連主導のものばかりと思っていたが(策略はそうだとしても)、抑留中の日本人が半ば自発的に行っていたようにも読める。。とはいえ、思想に染まるのは過酷な環境下でギリギリ生き延びるための術だったのかもしれない。シベリア抑留は国際法上でも違法ということ、「戦争は絶対やってはいけない」という戦争経験者の思いを著者は強調している。2023/12/12

まいご

1
「シベリア抑留は戦争犯罪なのでは?なぜ国際問題にされない?」の疑問から読む。もちろん国際法違反であったし、抑留者たちは長年賠償を求めてきた。ならば何故、日本政府は主張をしないのか。まず、日ソ共同宣言で請求権を放棄しているので個人賠償は日本政府の責になる。そもそもが、終戦当時の政府・軍部は『国体護持(天皇の存続)の為ならばすすんで兵民を差し出す』棄兵・棄民政策を密かに行った。要するに、脛に疵持つ身で騒ぎ立てたくなかったのか。 疑惑や批判の妥当性については著者の政治的バイアスを考慮して客観性を量るのが大変。2022/08/11

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