内容説明
木村伊兵衛、土門拳とともに戦後日本の写真界を担った12人の写真家がいた。彼らの作品は、昭和という創造の時代の投影であり、自身が肉声で語る映像表現の軌跡から、昭和の写真史そのものを感じ取れるだろう。練達のジャーナリストが描き出す、巨匠たちの知られざる素顔と魅力的な人物像、そして初めて明かされる創作の背景。
目次
海越える視野の先駆性―三木淳
水と丘にはじまる風景写真革命―前田真三
ふるさと探しの望郷みちのく―薗部澄
黒焼き表紙から花三昧の写真美学―秋山庄太郎
脚線美のエロチシズムに憑かれた踊り子慕情―稲村隆正
エロスの根源を求めた究極の女体美―中村正也
民族の心を写した大和路遍歴―入江泰吉
土門拳と競撮した悠久の祈りの世界―藤本四八
色彩の魔術師「瀬戸内海」の謎解き―緑川洋一
オリエント伝統文化の写俳人―岩宮武二
世界中に知られた演出の砂丘劇場―植田正治
時代と伴走した三割バッターの決闘写真―林忠彦
著者等紹介
岡井耀毅[オカイテルオ]
1933年生まれ。ジャーナリスト。早稲田大学第一政治経済学部卒業。朝日新聞西部本社社会部、南米移動特派員、ソウル支局長、『アサヒカメラ』編集長などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Koki Miyachi
2
「アサヒカメラ」編集長を歴任した筆者が、12人の昭和を代表する写真家との交流を編集した昭和写真史ともいうべき一冊。三木淳、前田真三、薗部澄、秋山庄太郎、稲村隆正、中村正也、入江泰吉、藤本四八、緑川洋一、岩宮武二、植田正治、林忠彦。我々が直接会うことが叶わない昭和の写真家たち。写真と写真家への深い愛情が溢れている素晴らしい本である。2022/02/18
bittersweet symphony
1
岡井耀毅さんは「アサヒカメラ」編集長だった方、オリジナルは2007年の雑誌連載の、引退記念出版的な昭和の写真家のエピソード集。基本的には商業写真/コマーシャルフォト的なカテゴリーの人たちが中心(ゆえにそのジャンル外の話はほとんどありません)。植田正治さんがちょっと毛並みが違う感じですが、写真家同士の横のつながりの絡みで取り上げられています。2015/12/17
Koki Miyachi
1
筆者が直接関わりあった昭和の写真家の軌跡。どの世界も同じかもしれないけれど、一流の連中はほんの一握りの限られたメンバー。その中で選ばれた連中が同じ時代背景の中で時には密接に絡み合い、時には強烈に反発しあう。昭和という時代の空気感、写真を愛する写真家の熱い思いが詰まった一冊。2012/11/01
ダフニス
1
日本の写真史を語る上で、これだけはしっておかなければならないという写真家12名に関する評伝です。写真史というのは実は分かりにくく、その点新書という形で代表的写真家が取り上げられたことは画期的であるといえます。2008/09/12