内容説明
「戦争は人類最大の狂気」というが、本当にそうなのだろうか?むしろ、精神的な病が日常とつながっているように、戦場と日常も地続きであると考えられる。戦後日本の自衛隊の奇妙な存在の仕方やイラク戦争の泥沼に現れた病理現象を読み取り、戦争に突き進むメカニズムと心理を分析する。医療の現場と脳科学、そして旧日本軍と「新しい戦争」から考察した精神医学的戦争論。
目次
第1章 否認という精神病理現象(否認とはどのような現象か;愛着欲求と攻撃欲求 ほか)
第2章 ラムズフェルド氏の見事な戦争(イラク戦争、バグダッド陥落までの見事さ;イラク戦争と日中戦争 ほか)
第3章 兵士の肉体性(「兵士は肉体を持つ」という事実;栗林中将は硫黄島で家のすきま風を心配した ほか)
第4章 戦陣精神医学(「南方ボケ」と呼ばれた人々;パットン将軍による兵士殴打事件 ほか)
終章 日常と戦争―継ぎ目なし?(「新しい戦争」;戦争と日常の間に切れ目はあるか? ほか)
著者等紹介
計見一雄[ケンミカズオ]
1939年東京都生まれ。精神科医、医学博士、公徳会佐藤病院顧問。千葉大学医学部卒業。1985年千葉県精神科医療センター設立。同センター長として2005年まで精神科救急医療の確立に尽力。日本精神科救急学会元理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネコ虎
7
何が言いたいのかさっぱりわからない本。精神科医による戦争の分析・批判を想定させる表題だが「戦争する脳」をどうみて、どう評価したいのかわからん。素人のブログを読んでいるようで散漫且つ論旨不明。わかったのは、この著者、要はWGIP感染症患者だということ。日本の軍人、政治家はアホばかりだが、英国の政治家は貴族の伝統があるから素晴らしいなどと訳の分からないことを言う。司馬遼太郎系統か。だから加藤陽子を評価する。戦争批判する割に戦争大好きのようで、蘊蓄をのたまう。飲み屋で部下を相手にくだを巻く飲んべえ上司のよう。2016/11/12
HoneyBear
7
精神医学は戦争と共に発展してきたと。兵士や戦災者が置かれた極限状況を考えれば当然かも知れないが、自分には新鮮な切り口だった。精神疾患はExhaustionなんだ。戦争に関する著者の雑感は取留めがなくて読みにくいのだが、面白い逸話も。例えば、サウジのバンダール王子はブッシュ政権に次の提案をした。イラクのバース党の頭は除去するが中堅将校、情報・治安機関は維持して権力の真空状態を防ぐべきだと。だが、これはチェーニーたちに一笑に付される。ISISの台頭を見ると、バンダール王子の慧眼が活かされなかったのが残念だ。2015/01/05
くさてる
4
精神医学的戦争論。ということだけど、軍人の父を持ち、終戦時に6歳だった著者が長く精神科救急医療の現場に携わった経験から語る独自の戦争と軍人論、という感じでとても面白かった。太平洋戦争から現代の戦争まで扱う範疇も広い。癖はある内容と文体だけど、精神医学と戦争に興味がある人なら読んで損は無いと思います。2013/07/31
Skywriter
3
多くの文献や救急医療に携わった経験から人を戦争と結びつける脳とは何かを探っている。戦争指導者や軍の上層部といった人々が持つリアリティを欠いた戦争観の危険性、戦場で兵士を襲うリアルな悲惨さに対しどう治療すればいいのかなど、バランス良く記述されている。2009/08/05
kamayan1192
2
どんなにタフな人でも90日以上の戦闘には耐えられない。戦闘ストレスに強い人と強くない人を事前テストで判別できるという試みは失敗した。焦燥感と倦怠感と狂気は連続している。など。筆者の父親が海軍将校だったことに絡む記述も面白い。2013/01/09
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