平凡社新書
松本清張と昭和史

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 252p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582853209
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0221

出版社内容情報

松本清張は昭和という時代に何を見たのか。
清張から「時代の記録者」としてバトンを受けた著者が『昭和史発掘』『日本の黒い霧』を読み解き、清張史観の本質を解き明かす。

内容説明

社会派推理小説の分野を開拓し、歴史小説、社会評論、古代史研究など、多彩な執筆活動を展開して、「国民作家」の名にふさわしい存在感を示した松本清張。なかでも、現代史の謎に切り込んだノンフィクションは重要な柱である。清張は、軍部をはじめとする国家権力、二・二六事件で蹶起した将校たちにどのような眼差しをむけていたのか?占領期の闇をいかに切り裂いたか?「昭和」という時代にどう取り組み、何を見たのか?松本清張から、「時代の記録者」としてバトンを受けた著者が、『昭和史発掘』『日本の黒い霧』を通し、その史観の本質に迫る意欲作。

目次

第1章 昭和前期と『昭和史発掘』(自らの同時代史に取り組む;清張にとっての昭和前期;「底辺からの視線」はどこから生まれたか ほか)
第2章 「二・二六事件」に収斂された昭和前期(昭和前期の日本を形造ったものの正体;事件をめぐる因果;同時代としての「二・二六」 ほか)
第3章 昭和中期を暴いた『日本の黒い霧』(占領期という時代;GSとG2の対立;占領期の闇 ほか)

著者等紹介

保阪正康[ホサカマサヤス]
1939年北海道生まれ。ノンフィクション作家、評論家。個人誌『昭和史講座』の刊行など、一連の昭和史研究で、2004年に菊池寛賞を受賞。現在、立教大学講師も務める。昭和史だけでなく、医学・医療、社会事象、教育をテーマにした作品も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

101
本書紹介に”社会派推理小説の分野を開拓し、歴史小説、社会評論、古代史研究など、多彩な執筆活動を展開して、「国民作家」の名にふさわしい存在感を示した”とある。実にその通り。本書では、昭和前期(戦前)の『昭和史発掘』と中期(占領期)の『日本の黒い霧』を取上げ、その見方を論ずる。「清張史観」とは、清張の同時代的、社会的な、どちらかといえば「弱者の目」から出発し、このような現実がなぜ起こったのかを丹念に追う視点であったと言う。著者は特に同時代性を重視。これらの事件は清張が幼年期・青年期を過ごした時代に起きている。2021/10/15

James Hayashi

31
これを読んで清張の取材力と洞察力を感じたし、彼の作品を読み通したいと感じた。昭和史発掘は読んでいないが「黒い霧」を思い出してみると、やはりドス黒いアメリカの陰謀を感じざるを得ない。キューバのピッグス湾事件、JFK暗殺なども陰の歴史のような薄暗さを感じるが、GHQも戦後の歴史にとって色を変えるほど日本の政治経済に力を及ぼし続けたと感じる。GHQに関し、その存在の真髄がわかるような、何かいい読み物を手にとって見たい。2017/02/23

そうたそ

17
★★☆☆☆ 松本清張を語るに避けられない昭和史。松本清張の作品は多数読んでいるが、「昭和史発掘」をはじめとした昭和を扱ったものはほぼ読めてない。それらを読んだ上でこれを読むとより理解が進む気がする。2019/12/30

キムチ27

13
子育てしていたころ、読み漁った1冊。今ではその論議の内容に疑問が多いだろうと推測される。だが、あの時期、清張が全エネルギーを傾けて追及遷都したその眼力は頭が下がる。山崎、吉村氏にも同じモノを感じ敬愛する所以。内容は清張が持つ史観・・特に昭和史を論じている。前期は2・26事件までの軍部・天皇と側近・財閥等を描く。中期はポツダム宣言受諾まで。玉虫色の内容が多い昭和史はいまだに掴みにくい。日本の黒い霧はいまだにたちこめている感がなくもない。

CTC

8
06年初版、平凡社新書。保阪正康氏は処女作の帯に、松本清張から推薦文を貰ったという。帯に書かれた「新進気鋭の記録者」との評を奇貨として自身を律し、「演繹的な手法で何かを断罪する」ような論者とは一線を画する、「史実に対して謙虚に向かい合う」書き手であろうとしたのだと。 私にとっても『昭和史発掘』は今の読書の原点のようなものだ。本書で『昭和史〜』のプロットを久々確認したのだけれど、43年も前に記されたこの本に、古さは微塵も感じない。 保阪さんの解説は…まぁ面白いと感じるツボが同じだから…発見はないわけで。。2015/09/09

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/14654
  • ご注意事項