内容説明
「夕焼小焼」の“小焼”ってなに?誰でも知ってる名作童謡、でも歌詞の意味とかいつ作られたとか、意外と知られていないのでは?コトバの謎とき、作者たちの人生ドラマ、そして童謡を生んだ時代背景…。謎がとければいっそう深まる唄の味わい!知っていそうで知らない名作童謡の世界にご案内。
目次
はじめに―童謡はどのようにして生まれ育ったか
“鳩ぽっぽ、鳩ぽっぽ…”「鳩ぽっぽ」(一九〇一)
“うさぎ追いしかの山…”「故郷」(一九一四)
“唄を忘れたカナリヤは…”「かなりや」(一九一八/一九)
“夕焼、小焼の、あかとんぼ…”「赤とんぼ」(一九二一/二七)
“赤い靴、はいてた、女の子…”「赤い靴」(一九二一)
“海は荒海、向うは佐渡よ…”「砂山」(一九二二)
“夕焼子焼で、日が暮れて…”「夕焼小焼」(一九二三)
“真白き富士の根、緑の江の島…”「七里ヶ浜の哀歌」(一九一〇)
“月の沙漠を、はるばると…”「月の沙漠」(一九二三)
“きんらんどんすの、帯しめながら…”「花嫁人形」(一九二四/二五)
著者等紹介
上田信道[ウエダノブミチ]
1953年大阪市生まれ。大阪教育大学大学院修了。大阪府立高校教諭、大阪国際児童文学館主任専門員を経て、現在神戸親和女子大学非常勤講師、日本児童文学学会理事などを務める。明治・大正期の芸術的児童文学や軍事・冒険・探偵小説など幅広く日本児童文学史を研究、現代児童文学評論も手がけている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinupon
69
幕末から明治にかけての日本の音楽教育の中から私たちの知っている童謡が作られてきた歴史と、聞きなれている同様が結構勘違いされていることが多いこともわかりました。2017/12/31
うえ
8
赤い靴、について知りたく思い。「この童謡は強奪される女性、買われていく女性という性的な意味あいを暗示している。そういうことを詩人の大岡信が『底本野口晴雨』三巻の解説に書いています…赤い靴が人さらいや人身売買の童謡だというのはまったくの誤解で、その証拠にこの童謡には実在のモデルが存在する、という説が有力です。そのモデルだといわれているのが、岩崎きみという女の子です」当時の開拓地北海道の生活に耐えられそうにないきみを宣教師ヒュエット夫妻に養子に出すが、夫妻が帰国する頃きみは結核にかかり9年生涯を終えたという。2022/06/07
sun
2
明治になると、西洋音楽が良くも悪くも入ってきて、混乱した。学校の科目である唱歌と、自由な立場の童謡運動が起こった。作詞では言文一致体、文語体で子供の詩に思想入れ込む、作曲では西洋音楽の混ぜ具合など、各種ある。この本はいくつかの例。この時代はもう少し知りたい。2014/11/06
しっぽあります
0
赤いくつの歌には、勘違いした解釈が多いけど、本当の意味はそれ以上に悲しかった。2014/06/06
いちはじめ
0
「謎とき」とか銘打った本にははずれが多いのだけど、これはわりと当たりかな。2002/12/23