内容説明
太古、クロマニョン人は野生のイヌを「友」として狩りをしたことで、ネアンデルタール人との競合に勝つことができたのではないだろうか。この大胆な仮説から説き起こし、人間に忠実という特異な性質、そしてすばらしい嗅覚や不思議な帰家能力など、イヌの持っているはかりしれない「力」の根源を探る。
目次
第1章 イヌが分けた人類の明暗(2万9000年前のある日;すぐれたヒト、ネアンデルタール人;絶滅の原因―クロマニョン人のイヌ ほか)
第2章 ヒトはオオカミを飼い慣らしたのか(イヌの祖先は誰だ;イヌとオオカミは交雑するが;オオカミとイヌの違う部分 ほか)
第3章 イヌの能力を知る(多種多様なイヌの世界;「記録」に見る驚くべき能力;驚異の嗅覚 ほか)
第4章 ヒト、イヌと生きる(飼いイヌの系統;品種改良に向けた古代人の努力;縄文人が連れてきた日本のイヌ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
moonanddai
2
「現生人類は、最初に石器を、次いで火を使うことで発展し、最後にイヌの感覚を利用することで生き延びてきた」つまりイヌを持たないネアンデルタール人は滅び、クロマニョン人が残った。そんなイヌだけど、そもそも「オオカミの社会からのあぶれものが野生犬であり、このうち、ヒト社会周辺にすみ着いたものがイヌの祖先だから、オオカミから見ると相当に意気地のない動物ということになる」らしい。それでもイヌは人間とコミュニケーションを取ろうとする本能というか能力がある。そのことでイヌがイヌ足りえて、私の最も愛するものになるのです。2015/09/02
カエル氏
1
歴史要素が強い。やっぱりイヌが好き!2022/10/03
トムトム
1
犬と人間の歴史。見てきたかのように生き生きと書かれている。20年前は今泉さん、こういう良い本を書いていた。なんで今、残念なシリーズみたいになっちゃったんだろう。今泉さんを好きだったから寂しい。2019/08/30
readtuktuk
1
タイトルから想像される、数百キロ離れた場所から飼い主のもとまで帰ってきたのです的な帰巣本能などについては第3章のみ。犬の起源に触れた第1章がおもしろかった。ネオンでタール人が絶滅し、クロマニヨン人が残った(原生人類の祖先)のは犬を狩りの友としたからでは、という説の検証。犬の原種は狼ではなく、ディンゴかパリア犬によく似た絶滅した野生犬であったと。揚子江以南の中国やインドシナ半島、およびインドの中部以南、あるいはさらに氷期に大陸と陸続きだったスマトラ、ジャワ、ボルネオを含む地域に犬の原種はいたらしい。2010/09/02
いちはじめ
1
イヌと人間のかかわりについてあれこれ書いてあるが、話の範囲を広げすぎのような気も。もっとテーマを絞った方が面白くなったと思う2000/05/26