内容説明
幕末・明治維新期、天皇は諸勢力に担がれる「玉」として、あるいは拝礼される御真影の図像として、スタティックにあっただけではない。たとえば五ヶ条の誓文の式典において、新しい権力編成を上演し世界に刻み込むアクターとして、たとえば主権の確立に向け諸国の公使を謁見する勲章で飾られた万国公法的身体として、また万世一系神話を組み込み再編成される近代神道の中心として、日々自らの役割に具体的に邁進していた。“儀礼と権力”の観点から、日本の近代国家と天皇のありようをとらえなおす、画期的な論考。
目次
明治天皇を読む
第1部 近代天皇と国家儀礼(孝明政権論―将軍の上洛と国家儀礼の再編成;天皇の権力―国家儀礼としての「五ヶ条の誓文」;明治天皇の外交)
第2部 近代神社・神道の祭祀と儀礼(近代神道の創出―神仏判然令が目指したもの;神道の可能性と限界―大国隆正の神道論;神社と祭りの近代―官幣大社日吉神社の場合)
靖国―戦後の天皇と神社について
著者等紹介
ブリーン,ジョン[ブリーン,ジョン][Breen,John]
1956年イギリス生まれ。ケンブリッジ大学日本学部卒業。ロンドン大学SOAS助教授を経て、国際日本文化研究センター教授。専攻、日本近世・近代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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