内容説明
全国各地に転勤しつつ天領施政の現場を担っていた代官所手代たち。地域の政治と文化にきわめて重要な役割を演じていたはずの彼らの生を、残された痕跡を追い求め、彼らが打ち興じていた狂歌を用いる意想外の手法で、その多面性そのままに再構成する、鮮やかで果敢な試み。
目次
序章 出会いの物語
第1章 書物の移動が語る歴史―飛騨郡代元締手代菊田泰蔵(墓石が語る事実―菊田泰蔵の二つの墓;「書物」の移動がひらく世界 ほか)
第2章 狂歌撰集から見えてくる世界―「在」字付き地名表記の謎(なぜ「在」の字が必要なのか;月次撰集と俳諧歌の運動 ほか)
第3章 手代の経歴―陸奥代官手代尾崎大八郎一徳(手代の家―尾崎家三代;手代の家の近代―息子・一成の履歴 ほか)
第4章 手代と狂歌(狂歌作者・愚鈍庵一徳;会津の撰者・百中亭筈高の添削 ほか)
著者等紹介
高橋章則[タカハシアキノリ]
1957年、宮城県生まれ。東北大学大学院博士課程後期課程単位取得退学。現在、東北大学大学院講師。専攻は日本近世思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はすみ
0
非常に興味深い内容。 手代と狂歌を結ぼうというその試みはアグレッシブだ。2023/10/23
伊達者
0
図書館で借りた。著者は東北大教授。地元のカルチャーセンターで仙台藩の狂歌を講義すると聞いて申し込んだものの受講者が集まらずキャンセル。代わりというわけではないが講師の著した本書が目に留まったので読んだが,私にはなかなか難物であった。研究者の研究のプロセスや事実発見の喜びが書き込まれている本で標題とは異なり,代官所手代の解説でもなく,狂歌の解説というわけでもない。歴史研究というのはこういうものかということがぼんやりと分かった。一般向けの講義を聴ける機会を待とう。2022/10/12
tkm66
0
フツーに楽しかった、筈。2007/10/16