内容説明
二つの世界大戦、全体主義、強制収容所、ジェノサイド、核兵器…を体験した20世紀。かつてこれほど人間が傷ついた時代はない。なぜ、文明に暴力はつきまとうのか。我々はついに暴力を克服できないのか。これらの不可避な問いを見据えながら、著者は、日本文化に潜む根源的な暴力性と政治性を、謡曲などの神話的テクストの解読、掛詞という日本語のレトリック分析などを駆使して鮮やかに批評してゆく。日本文化の問題点とは何か。自文化中心主義批判から、現代のエチカの探究へ。画期的な「文化の政治学」の実践によって、省察的批評の新しい地平が切り拓かれる。
目次
序章 セイレーンの声
第1章 日本文化にあらわれた悪
第2章 自然観批判
第3章 思想の青春
第4章 言語のポリティックス
第5章 閉塞する近代
第6章 希望の倫理学